サン=テグジュペリ
1900年生まれ。1944年死亡。
夜間飛行(Vol de Nuit)[堀口大學訳]
新潮文庫 (1956.2.20)・・・Librairie Gallimard (1931, 1929)
- 夜間飛行
パタゴニア、チリ、そしてパラグアイから、三つの郵便機が
ブエノス・アイレス目指してやって来る。
支配人であるリヴィエールは、態度では部下に厳しく接しながら、
心の中ではいつも彼らに気を使っていた。
そしてその夜、パタゴニアから向かって来ていたファビアンが操縦する機が、
暴風雨に巻き込まれてしまった・・・
- 南方郵便機
午前5時45分、フランスのツールーズを出発したフランス・アメリカ号は、
サハラ砂漠を越えた町、ダカールへと向かっていた。
操縦士はジャック・ベニルス。
彼は2ヵ月前、子供を亡くし、冷たい夫から逃げてきた幼なじみの
ジュヌヴィエーヴを連れてパリを出たが、彼女の体調が良くなく、
再びパリへと引き返していた。
ジュヌヴィエーヴも、そしてベニルスも新しい未来を求めての逃避だったが、
それはやはり単なる逃避に過ぎず、新しい世界を掴むことは出来なかったのだ。
そして今日の出発前、ベニルスは彼女の家を訪れ、もう二度と訪れはしない
と誓っていたのだった。
そのベニルスが、砂漠の町であるここカップ・ジュビーに立ち寄った時、
私にその話をしてくれた。
そして慌ただしく、ダカールへと飛び立って行った・・・
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