五條瑛

防衛庁を退職後、フリーライター。


プラチナ・ビーズ
集英社 (1999.2.)
極東ジャーナル編集部に所属する葉山隆は、人的情報収集活動のプロである。 そして、アメリカ国防省の情報組織<会社>の触手として、事情聴取をしている。 対象者の言葉の砂漠の中で、自分でも気付いていない砂金を捜しだすのが仕事である。 英語のほか韓国語も話すが、日本で生まれ育ち、日本語を話す日本人である。 ただし、両親とも日本人ではなく、目は黒いが肌の色は白く、 外見からは日本人と見られることはない。 ある日の対象者である町田洋子(劇団女優名、工藤留実)の言葉の中に ひっかかりを覚えた葉山は、留実との偶然の出会いをきっかけに、 さらに奥にあるものを引き出そうと乗り出した。 葉山の上司エディは、元バスケットボール選手という、 長身で傷一つない顔をもつ軍人である。 そしていつも、葉山を精神的にいたぶるのを楽しみにしている風に思える。 但し、彼の主張はいつも冷静で正確で簡潔で客観性があるので、 正面から勝負をしても負けるのは目に見えている。 さらにエディの部下の一人で海軍調査軍に所属する坂下冬樹は、 外見は日本人であり生まれたのも日本であるが、 3歳の時にアメリカに渡って以来向こうで暮らしていたため、 日本語の会話はなんとか出来るが、漢字がほとんど読めない日系アメリカ人である。 彼は、脱走したと思われるパウロ・ヤン・ディーノ二等兵曹の行く方を 探していたが、金沢で発見された死体の特徴が良く似ているということで、 日本海側の町までやってきていた。 そしてやがて、葉山と坂下の調査の対象に、重なりが見えてくる・・・


スリー・アゲーツ
集英社 (1999.12.10)
ソウル郊外の永登浦区(ヨンドウンポグ)周辺の新吉洞(シンギルトン)の 緑が茂る公園近くにおいて、朝早くから、ソウルの米国大使館付きの シークレット・サービスの一人マーシャルをトップとし、韓国国家情報部の 強健で敏腕な少数の寄りすぐりのメンバーが中心となったチームで、 ある小さな家を包囲し、突入を敢行した。 ところが、この作戦の秘密がどこからか洩れていたらしく、 マーシャルを含む四人が死亡し、一人が意識不明の重体、二人が負傷し、 家の中にいた犯人三人は全員射殺された。 結局、ある重要な情報を持つ人物チョンは事前に逃げ出しており、 犯人からは何一つ聞き出すことが出来ずに、作戦は失敗に終わった。 その家で見つかったチョンの書いたと思われるメモ書き『チョン文書』の 解析を、極東ジャーナル編集部の葉山隆はエディから依頼された。 葉山は、人的情報収集活動のプロであり、米国国防総省の情報組織<会社> の手先として仕事をしている正真正銘の日本人であるが、両親とも日本人ではなく、 外見は日本人と見られることはない。 また、葉山の上司エディは、容姿も立ち振る舞いも思考も、全て非の うちどころのない元軍であり、現在は<会社>の優秀な情報部員である。 『チョン文書』は、大層な名前がついているものの、どう見ても、 日本語の漢字の練習をした落書きにしか見えなかった。 ところが葉山は、この落書きからある人物を割り出した・・・


夢の中の魚
集英社 (2000.12.20)
長年、日本で活動を続けてきた韓国情報部の情報員、呉道永治がそろそろ 引退するために、後任者として新しく送り込まれてきたスパイ、洪敏成。 悪い噂など全く気にしない奴で、呉道から見ても変人だと思えてしまう。 コードネームは東京娘。 彼は、表向きは韓国日報編集部の記者として働き、アメリカ側の情報員や、 その他いろいろなコネを築きつつあった。 その様子をいくつかまとめた短篇集。


スノウ・グッピー
光文社文庫 (2003.12.20)・・・光文社 (2001.12)
関東電子機器は、大きな取り引きのほとんどが官公庁関係である。 そのため、バブル崩壊の影響もほとんど受けずに、業績を延ばしていった。 そこの総務部調査課に勤務する三津谷雪人は、9月15日、 京都で友人の結婚式に出席した後、短い休暇を楽しむ予定であった。 そこに突然かかってきた携帯によるSコール(スタンバイ指令)。 上司の佃田から、休暇はお預けですぐに石川へ行ってくれと言われる。 そこに迎えに来ていたのは、かつて航空幕僚監部運用課にいた 宇佐見寿夫二佐であった。 彼らは、次世代の兵器に関して、官民合同研究会で意気投合し、 その後何度も議論を戦わせ、現在進行中のグッピーの開発に繋がっていた。 その宇佐見二佐から事情を聞いたところによると、そのグッピーが北陸の 日本海に沈んだと共に、関東電子機器の社員で小松基地に滞在している 山田政史が姿を消したと言う・・・


ROMES 06
徳間書店 (2006.10.30)
海上に作られた西日本国際空港、略して西空。 ここを警備する世界最先端の警備システムROMESを運用管理するのは、 西空警備部。 その、システム運用に関する最高責任者は、システムの製造元ヒンデル社の 社員であった成嶋優弥であった。 彼は、元麻薬探知犬だったハルを引き取り、いつもじゃれあっている。 部下の砂村多駒でさえ、彼はROMESとハル以外は信用していないのでは ないかと感じるのであった。 運用開始後8年間、大した事故や事件もなく平和に過ぎ去っていたが、 少しおかしな動きが感じられてきた。 西空内各所に届く脅迫状、航空保安協会の車の爆発、おもちゃの爆弾、等々。 彼らは、無事に西空を守り抜くことが出来るのであろうか・・・ ROMESには01から05までの警備レベルがある。 01は監視、02は探策、03は追跡、04は警告、05は防衛。 そして実は、もう一つ06が装備されていたのだ。それは・・・


君の夢はもう見ない
集英社 (2002.10.30)
東京の間宮ビルの五階にある中華文化思想研究所、略して中文研。 アジア文化専門の総合情報紙を発行している小さな出版社の所長が、 仲上孔兵である。 中文研は、元々は<会社>と呼ばれる米軍の下請け的な存在であり、 メールマンとして機能していたが、今は仲上を除いて完全に一般の 一会社になっている。 その仲上も、現在はいわゆるスパイ業からは足を洗っている。 しかし、スパイ業は、簡単には昔の縁を切れない。 昔、<会社>の側で共に働いていたラウル・ホウが、今は中国側に 移っているという話を噂で聞くが、時おり彼からの誘いが舞い込んで来る・・・


熱氷
講談社 (2002.8.26)
小さい頃に両親を失い、父の兄の家族に引き取られて育った石澤恒星。 そこでは、本当の家族の一員として、宝物のようにして育てられた。 特に、従姉にあたる朱音は、恒星を弟としてずいぶんと可愛がってくれた。 ところが彼は、高校を卒業すると広島の海上保安大学校に進学し、 その卒業後にはカナダへと旅立った。 もちろん彼自身も、家族にはとても感謝していたに違いない。 しかし、だからこそ海外へと、朱音から遠ざかって行ったのだろう。 そしてある早春、彼は朱音の訃報を聞き、慌てて帰国した。 朱音は日本で結婚しており、光晴という子供もいたが、死因は自殺だと言う。 以前から彼女の夫、光晴の父親とは疎遠になっており、彼は朱音の葬式にも 出席しなかった。 そこで当然の事ながら、朱音の、そして恒星の父親に引き取られて暮らしていた。 母親は、すでに他界していなかったのだ。 そしてある日、光晴が誘拐された・・・


断鎖
双葉社 (2001.5.25)
革命小説シリーズ第一弾。 両親の過剰な干渉から必死に逃れようともがき苦しんでいる亮司。 彼は、崔が社長をする中国人を主とする密航の斡旋業社で働いていた。 密航といっても、報道される事の多い海路のものではなく、空路を使う。 密航に伴う安全性は各段に上がるが、価格は高くなり、儲けも大きい。 その密航者を一時留め、日本語教育をしている「学校」と呼んでいる古い 雑居ビルが神田佐久間町にあった。 そしてある日、その「学校」が何者かに襲われ、会社は空中分解した・・・


紫嵐
双葉社 (2002.5.30)

幼い頃、何も分からないうちにカンボジアのプノンペンで収容所に入れられ、 ひもじい思いをしながらしばらく過ごし、死刑執行を受けて墓場となる 巨大な穴へとトラックで移送されている途中、収容所番号VS-1002こと キュー・ティットは逃げ出した。 そこを偶然出会った男に拾われ、一緒に日本へと亡命してきた。 現在、自分のことを鳩と呼んでおり、人生のほとんどを日本で育ったが、 なかなか閉鎖的な日本には馴染めず、チンピラをしてフラフラ生活している。 いつも、まわりの誰でも良いから殺してしまいたいという欲望をなだめつつ、 どうやって生きていけば良いのか分からずに戸惑っている鳩。 最近、チューンというしけたタイ人と組んで小さな窃盗をしていたのだが、 ある日突然、そのチェーンが消え、ヤクザの嘉瀬から彼を探せと脅された・・・


心洞
双葉社 (2003.6.5)
時々チンピラの手伝いをしながら、それなりにうまく生きてきていたヤスフミ。 旅館の屋上にある、彼のプレハブ小屋には、少し前の冬に拾ってきた、 エナという女が住み着いていた。 彼女は今、キャッチガールをして小銭を稼いでいる。 ヤスフミは、厄介な事に巻き込まれるのは嫌で、ヤクザにはなっていないつもりだ。 しかし、どこかでその歯車が狂い出した。 根岸会、北京、タイ等、新宿を中心に活動しているグループ全てが追っている 鳩と呼ばれる男を探し出すように仕向けられていったのだ。 簡単には断れない。そして、どうしようもない深みにはまって行った・・・


恋刃
双葉社 (2005.3.15)
経済産業省に勤める桑田惣一は、昔から真面目を絵に書いたような男である。 聖美という美しい女性と結婚し、仕事も家庭もそれなりに順調である。 ある日、銀座のギャラリーからの案内状にひかれるものを感じ、足を運んでみると、 そこでは高校時代に美術室で詩神(ミューズ)を求めて描き続けていた男、 七代目彫翔が刺青の個展を開いていた。 彼は高校時代、出席日数の不足や飲酒喫煙による数回の停学等で、卒業を 待たずしていなくなってしまっていたが、桑田には非常にひかれるものがあったのだ。 一方職場では、死んだ和田課長、そして先輩の畠さんにかかわる事柄で、 だんだんと暗い影が迫ってきていた・・・


愛罪
双葉社 (2006.4.15)
政財界の大物である和田剛、タイの大物実業家であるパイトゥーン、 彼らに取り入り、うまく操ろうとしている(?)サーシャ。 サーシャにとっては、彼ら以外にも重要な人脈が必要だった。 一つは、経済官僚とのパイプ。そしてさらには、長谷川製薬。 長谷川製薬の後取りの最有力人物二人に取り入ろうとしているのは、 占い師ドゥルダである。 両者をうまく手なづけ、競わせ、真の勝者を手に入れようとしていた・・・


スリーウェイ・ワルツ
祥伝社 (2003.7.30)
由沙と呼ばれる北朝鮮の女性工作員が、日本に入国した。 彼女は、16年前の夏に民間航空会社のボーイング747が墜落したものを含め、 アジア各地で発生した様々な事件に関与しているとされ、 その身柄を押さえたい組織がたくさんあった。 警察、公安、防衛庁、在日米軍、北朝鮮、韓国等々。 ただし、ただ単に逮捕するだけでは、容疑不十分ですぐに釈放されてしまう。 また、彼女の持つ情報には魅力あるものが多く、彼女を泳がせておく方が 何かと都合が良いと考える向きも多かった。 さらに、個人的な怨みを抱いていたものもいた。 こうして、彼女が入国してからずっと、複数の監視が付いていた・・・ 丁度その頃から、16年前の夏の民間機事故で母親を亡くし、再婚した 父や義母とあまりうまくいかずに少しグレかけている神田恭祐の元には、 様々な人物が接触して来るようになった・・・ そしてこれらの大元には、1960年頃に多くあった、在日朝鮮人の帰国があった。 彼らと結婚した日本人妻たちは、彼らと共に朝鮮民主主義人民共和国へ、 地上の楽園を夢見て渡っていったのだ・・・


ヨリックの饗宴
文藝春秋 (2003.9.15)
七年前、息子の裕之に生涯残るような大怪我をさせた上で失踪した和久田栄一。 彼の妻であった真智子は、彼との正式な離婚を待って、根岸という男性と 新しい生活を始めようとしていた。 栄一の父親は一年前に亡くなっていたが、息子の裕之は、栄一の母親の知子がいる 元の家に、留まると宣言していた。 一方、一人娘のゆかりは、根岸さんの一人娘のマリちゃんと気が合うようで、 向こうに移ると言う。 そんな家庭に、栄一の弟である耀二は戻って来た。 誰もが、栄一が戻ってくることをおそれていた。 そして耀二が戻って来てすぐ、栄一宛てのファックスが送られて来た・・・


黒を纏う紫
徳間書店 (2004.2.29)
夜でも光耀く夜の都、東京。 ここの消費するエネルギーは、もう膨大すぎて特種物質に頼る他ない。 そう日本は、夜の都を維持するために特種物質を受け入れる事を選択したのだ。 そして今、この国は世界一の特種物質消費国になった。 そして、空気も水も土も、特種物質の影響を受けているものはないのだ。 そんな特種物質の大規模運搬が秘密裏に計画されていたが、こういう計画は 必ず洩れるものである。 そしてその特種物質(を売却して出来る巨額の金)に、様々な人々が 吸い寄せられてくる。 運搬依頼人である在日米軍、移民排除を目指す議員とその秘書、 破壊を食い止めようと活動する環境団体、闇の非合法カジノを束ねる胴元、 原始的な生活を目指し、それから外れる者達を抹殺しようとするテロ組織、 そのテロ組織から逃げ出してきた一人の男とその仲間達、 もちろん警察や自衛隊もいる。 そしてその中心には、特種物質運搬の免許を持つ、鶴見のような運転手がいた。 夜の都を支える特種物質の運搬は、一体どうなるのだろうか・・・


蝶狩り
角川書店 (2005.5.30)
浜松町の倉庫街にある桜庭調査事務所。 所員は所長を兼ねている桜庭秀彰ただ一人。 同じフロアには友人の檜林がやっているオフィス檜林が、上の階には 彼の昔の義兄の広末弁護士が経営する法律事務所がある。 桜庭は、この広末法律事務所の底辺で、法に触れない限り大抵の事を 引き受けていた。



徳間書店 (2007.3.31)
無差別テロが頻発する、豊かな国、日本。 最近では、そのテロにもアウトソーシングが進み、高度な知能を持つ テロ計画集団に対して、その最も危険で泥くさい部分を代行する ネットワークと呼ばれる集団がいると噂されている。 浪人生の上山秋生は、ある日ふらついていた渋谷のラブホテル街で 怪我をしてうずくまっているジェイと出会った。 彼女から感じられる強さに圧倒され、一気に引き込まれてしまった秋生は、 彼女を病院へ連れて行き、一晩アパートに泊めてやった。 そして翌朝、彼が気がつく前に、ジェイはいなくなっていた。 一箱の煙草、キャメルを残して・・・


上陸
講談社 (2005.4.25)
最初に勤めた会社が倒産し、家族同様の付き合いをしていた社長一家が 崩壊した後、いろいろな仕事をしていた金満明年は、そのうちに気楽な 日雇い労働者として働くようになっていた。 二十代前半ながら前科一犯の政岡安二は、大量の借金を背負っていた。 又、パキスタン出身の不法労働者であるアキムは、働いて得たお金を ほとんど全て母国に送金していた。 彼ら三人は、同じ現場で働いたことから知り合ったが、そのうちに 三人寄った方が仕事を得やすいと分かり、一緒に生活することになった。 皆、他人の金には手を付けないというルールを守っていたため、 むさ苦しい男三人所帯ながら、わりとうまくやっていた・・・


エデン
文藝春秋 (2006.8.10)
新宿の自警団、あるいはストリートギャングである<涅槃>が、 <四頭会>と衝突を起こし、そこへ警察が乗り込んできて、 両グループのリーダーが逮捕された。 <涅槃>のリーダーの一人、亞宮柾人は、二年間の特別矯正施設送りの 判決を受け、神奈川へと送られるはずであった。 ところが、着いたのはK7号施設だと言う。 しばらくするうちに分かってきたところによると、K7号は政治・思想犯専用の 特別矯正施設のようである。 外部との連絡は大きく制限されているが、内部で動きまわる分には非常に 自由にできた。 それにしても、どうしてストリートギャングがK7号施設などへと 送り込まれたのだろうか・・・


純棘
双葉社 (2007.2.28)
与党の若手議員である松任勇二は、繰り上げ当選した一年生議員。 与党内の力関係を慎重に見極め、改革派として売り出している 酒井長継議員の派閥に所属することにした。 与党では少数派であるが、それだからこそ活発に動けると考えたのだ。 そして、外国人の人権擁護団体『ナディアの会』の職員である 束本弘江に近づき、これを利用しようとする・・・ 一方、根岸会の支援を受け、『国輝塾』を開いた田沼誠志郎は、 純粋な日本人の社会を作るという理想を持っていた。 その為には、外国人は排斥せねばならない。 天才刀匠と言われた海音浩太郎の一人息子、向季を向かえて 人を切るための日本刀を作ってもらうことにした。 向季もまた、田沼の心意気に惹かれ、全力を傾けて日本刀作りに 精を出すことになった・・・


赤い羊は肉を喰う
幻冬舎 (2007.1.28)
八丁堀近くにある『内田調査』に拾われた内田偲は、計数屋として 様々なデータを数値化している。 しかし、最近の社内の雰囲気は、あまり気に入っていない。 まず、社長の内田雅弘は、あまり仕事をしない。 しかも最近、矢上倖という、遅刻・早退・仕事せずのOLがいた。 一方社外でも、これまで住み良いと思っていた八丁堀界隈が、 最近何かおかしい。 このところ、客の心をつかみ、繁盛しているブティック『kohaku!』が、 駅前のビルを真っ赤や真っ黒のシルクで包むという、妙なディスプレイを しているのも気にかかる。 そして何より、ちょっとした犯罪が増えている気がする。 一体何が起こっているのか?それに気付き始めたのが、偲であった・・・


狂血
双葉社 (2008.6.25)
「革命小説」シリーズ第七巻。狂血、すなわち狂った血。英語のタイトルは、 "immigrant and illegal immigrant, and imposter"。 こちらの方が内容をよく表していますが、以前の巻のように1単語ではないの ですね...


天神のとなり
光文社 (2008.9.25)
元大学准教授の鏑木は、ある出来事で大学を追われ、現在は株式会社 ガルーダの社員として働いている。 とは言うものの、会社に出るのは社長である天藤会若頭の白樺に 呼び出されたときだけである。 そう、簡単に言ってしまえば、ヤクザの使いっ走り。 しかしもう、努力してこれ以上まともな生活を送ろうという気力は 一向に涌いて来ないのだ・・・



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