東野圭吾
1958年、大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。
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放課後
講談社 (1985.9.10)
5年前、某家電メーカーの研究員だった私、前島は、転勤を命じられたのを機に、
転職して私立清華女子高校に、数学教師として就職した。
今は亡き父親の旧友が、この学園の校長兼理事長をしており、コネが効いたのだ。
特になりたかった職業ではなかったが、最近特に、自分には向いていないのでは
ないかと思うようになってきていた。
そしてその私が、この2・3日、命を狙われているようだ・・・
卒業−雪月花殺人ゲーム
講談社 (1986.5.20)
加賀恭一郎は突然、相原沙都子が好きだと告白した。
彼らは国立T大の四年で、もうすぐ卒業だ。
そして、金井波香、牧村祥子、藤堂正彦、若生勇、そして伊沢華江を加えた七人は、
みな高校の同級生であり、同じくT大の四年であった。
そんなある日、牧村祥子が亡くなった。
自殺の疑いが強く、新聞にもそう発表されたが、他殺の線も捨て切れない
状況であった・・・
魔球
講談社 (1988.7.20)
春の選抜高校野球で、捕手北岡明とエース須田武志率いる開陽高校は、
一対〇でリードしていながら九回裏二死満塁のピンチをむかえていた。
相手打者は四番の津山である。
そしてこの打者に対し、落ちる魔球を投げたところ、北岡が後逸し、
逆転されてゲームセットとなった。
その北岡が、夜に人気のない道路で一緒に連れていた犬とともに
殺害されるという事件が起こった・・・
眠りの森
講談社 (1989.5.8)
高柳バレエ団の事務室で殺人があり、未緒は葉瑠子が逮捕されたと連絡を受けた。
強盗が入り込み、その強盗を殺してしまったという。
おそらく、正当防衛が成り立ちそうな事件であった・・・
ブルータスの心臓
光文社文庫 (1993.8.20)・・・カッパ・ノベルズ (1989.10)
中堅産業機器メーカーのMM重工の研究開発二課で、人工知能ロボットの
開発と応用を研究している末永拓也は、MM重工創設者である仁科慶一郎の
息子であり、現在専務取締役である仁科敏樹に取り入るため、ロボット
事業部で研修を受け、役員室に配属されていった雨宮康子に近付いた。
彼女を通じて仁科敏樹の情報を得、もちろん彼の実力もあって、敏樹への
受けは良いようである。
そんな時、敏樹の次女の星子がアメリカから帰ってきた。
じゃじゃ馬な彼女に何とか取り入ってうまくいきかけた頃、突然雨宮康子が
爆弾発言をした。
子供が出来た。でも、おろす気はない、と。
早急に対策を考えていたとき、仁科敏樹の一人息子、星子の異母兄妹、
そしてロボット事業部の開発企画室である仁科直樹に呼び出された。
そこには一課の橋本も呼ばれていた。
そこで直樹から聞く話では、この三人はみな、雨宮康子と関係があり、
それぞれに脅されていると言う。
そして、三人で共謀して彼女を殺す計画が進められた・・・
宿命
講談社文庫 (1993.7.15)・・・講談社ノベルズ (1990.6)
警察官である父との父子家庭で育った勇作は、小学低学年の頃には
勉強も出来、スポーツも万能でクラスの人気も抜群であった。
ところが、同学年の晃彦だけには、どうしても勝てなかった。
そして、自分も仕方なく警察官になった約10年後、勇作はある事件で再び
晃彦に再会した。
そしてその時、晃彦は勇作の昔の忘れられない恋人、美佐子と結婚していた・・・
犯人のいない殺人の夜
光文社 (1990.7.30)
- 小さな故意の物語
『小説現代』1985年11月号
親友の達也が学校の校舎の屋上から落ちて死んだ。
目撃者の話によると、一人で屋上の囲いのブロック塀の上に立っていたと言う。
でも、あの慎重な達也が、どうしてそんな危険なところに登っていたのか...
しかもたった一人で・・・
- 闇の中の二人
『小説宝石』1986年1月号
永井弘美が中学で担任をしているクラスの生徒の一人、萩原信二から、
弟が殺されたと電話をもらった。
警察では、外部から侵入した人物が犯人だと見ているらしい・・・
- 踊り子
『小説宝石』1986年9月特別号
孝志は、水曜日の塾の帰りに、近所のS学園の体育館で新体操をする女性が
気になってきた。
家庭教師をしている大学生の黒田さんに相談して、入り口にスポーツ
ドリンクを置いておくことにした。
ところが数週間後から、彼女は練習をパッタリと止めてしまった・・・
- エンドレス・ナイト
『小説宝石』1987年5月特別号
田村厚子は、夫が大阪の店で殺害されているという連絡を受けた。
東京に住んでいたが、早速駆けつけて遺体の確認をした。間違いなかった。
次の日、刑事さんに大阪の街を連れまわされた・・・
- 白い凶器
『小説宝石』1988年9月号
A食品株式会社の材料課課長の安部孝三が、墜落死体として発見された。
会社の本館の裏の通路で。その真上には、彼のオフィスがあった。
自殺する動機は見つからず、かと言って事故をおこしそうな状況でもなかった。
そして一週間後、係長の佐野が運転中に事故をおこし、死亡した。
解剖したところ、睡眠薬が検出された・・・
- さよならコーチ
『小説現代』1988年11月特別号
直美は、自分の姿をビデオを撮影しながら自殺した。
遺言のようにビデオに語りかけ、タイマーをセットした電源を自分の身体に
セットし、睡眠薬を飲んで・・・
- 犯人のいない殺人の夜
『EQ』1988年3月号
拓也が家庭教師をしている岸田家で、殺人がおこった。
いや、殺人と言うよりも、ちょっとしたはずみで死んでしまったのだ。
そう、拓也以外にもう一人いた家庭教師の由紀子が・・・
ある閉ざされた雪の山荘で
講談社ノベルズ (1992.3.5)
劇団『水滸』の演出家、東郷陣平の行なったオーディションの合格者である
7人の若手舞台役者に、ペンション『四季』への招待状が届けられた。
誰にも話さずに集まって来いという。
そしてそこが、閉ざされた雪の山荘という想定で、芝居をしろという・・・
同級生
講談社文庫 (1996.8.15)・・・祥伝社 (1993.2)
西原荘一の同級生、宮前由希子が交通事故で死んだ。
彼女のお腹の中には赤ちゃんがいた。その父親は、荘一である。
自分たちは、つきあい出してからまだ日も浅いし、
他人に隠れてつきあっていたから、黙っていれば分からないはずだ。
しかし荘一は、由希子の両親に告げ、そしてクラスの中でも宣言した・・・
どちらかが彼女を殺した
講談社ノベルズ (1996.6.5)
愛知県に本社のあるメーカーの東京支店で働く和泉園子。
会社の近くの蕎麦屋へ向かう道で出会った佃潤一と恋人同士になったが、
同郷で同じ高校と大学を卒業した唯一ともいえる親友、弓場佳世子に
紹介したところ、彼らが恋人同士になってしまった。
恋人と親友に裏切られた気持ちになり、唯一の肉親であり、愛知県警の
警察官である兄、康正に電話をし、少し泣き言を漏らした。
園子の電話の内容に不信を持った康正は、東京の園子のアパートに
やってきたが、そこで妹の死体を発見した。
康正は、一目で自殺に見せかけた他殺であることを見抜き、警察を呼ぶ前に
証拠隠滅をはかり、自分で犯人を追いつめることにした。
警察側は、ほぼ自殺と断定しかけていたが、そこに立ちふさがるのが
加賀恭一郎であった・・・
悪意
双葉社 (1996.9.20)
『小説推理』1995年8月号〜1996年5月号
人気作家日高邦彦が自宅で殺された。
第一発見者は、妻の理恵と、幼なじみの野乃口修。
刑事である加賀恭一郎は犯人を逮捕するが、動機だけは語ろうとしない。
一体、犯人には何があったというのか?そしてその目的は???
秘密
文芸春秋 (1998.9.10)
自動車部品メーカーの生産工場で働く杉田平介。
妻の直子と娘の藻奈美は、スキーバスに乗って直子の実家に向かっていた。
彼女の従兄が病死して、告別式に出席するためである。
ところが、そのスキーバスが事故にあって大惨事になってしまった。
直子は、体はボロボロに壊れたが、死の直前に少し意識が戻った。
藻奈美は、直子がかばったことで、体にはほとんど傷はなかったが、
圧迫を受けて脳に傷害が起きた。
ところが、奇跡的に意識を取りもどし、退院することが出来た。
だが、それは、藻奈美ではなく、直子の意識を持ってであった・・・
私が彼を殺した
講談社ノベルズ (1999.2.5)
流行作家の穂高誠が結婚式当日、式の始まる直前に殺害された。
穂高は、普段から鼻炎を抑えるための薬を常用していたが、そのカプセルに
毒がしかけられていたのだ。
やがて、直前まで新婦の美和子とは違う、動物病院に勤める女性、浪岡準子が
病院の薬品を用いて毒入りカプセルを作ったことが判明した。
しかし、彼女は穂高が殺害される前日に自殺しており、薬を買った時期から
考えて、彼女が殺害することは不可能に思われた。
容疑者として浮かんできたのは、美和子の兄、神林貴弘、穂高のマネージャー、
駿河直之、穂高及び美和子の担当編集者、雪笹香織の三人であった・・・
白夜行
集英社 (1999.8.10)
19年前、近鉄布施駅の近くにある真澄公園の前にたつ、七階建てのビルの中で、
質屋『きりはら』の主人、桐原洋介の殺害死体が発見された。
ビルは建設が途中でストップされ、ほとんどがらんどうのまま子供達の
遊び場になっていた。発見したのも、一人の小学三年生であった・・・
嘘をもうひとつだけ
講談社 (2000.4.10)
- 嘘をもうひとつだけ
『イン・ポケット』1999年5月号
弓削バレエ団の事務局長兼演出家補佐の寺西美千代は、
『アラビアンナイト』の公演初日の直前に、加賀刑事に呼び出された。
5日前に、同じマンションに住む同僚がベランダから落ちて亡くなった件で
調べているらしい・・・
- 冷たい灼熱
『小説現代』1996年10月号
田沼洋次が家へ帰ってくると、洗面所に妻の美枝子が倒れて死んでいた。
一歳になる子供の姿が見えないため、誘拐事件の可能性を考えて
待機していたが、とうとう3日経っても何の連絡もなかった・・・
- 第二の希望
『小説現代』1997年6月号
水曜日、楠木真智子が職場とダンススクールに行って家に帰ってみると、
毛利周介という真智子の交際相手が殺害されていた。
真智子は離婚していて、一人娘の理砂には、自分の果たせなかった
体操選手への夢を託していた・・・
- 狂った計算
『小説現代』1997年10月号
駅前で、妻の奈央子を送って来て帰ろうとしている坂上隆昌の所へ、
トラックがもの凄い勢いで突っこんで来た・・・
- 友の助言
『小説現代』1999年7月号
萩原保は、妻の峰子がクラス会に出るために実家に帰ったのに合わせ、
昔の仲間と食事をすることにしていた。
実家から妻が、飼猫のビッキーに餌をやってくれと頼まれ、ついでに
妻に言われるままビタミン剤とドリンク剤とを飲み、車に乗って出かけた。
その途中、高速に入ったあたりで急に眠気をもよおし・・・
サンタのおばさん
文藝春秋 (2001.11.15)
サンタの国際会議が開かれた。
高齢のため引退するアメリカ・サンタの後任として、現サンタが連れてきたのは
女性であった。
サンタが女性であっても良いのか...会議は白熱した・・・
レイクサイド
実業之日本社 (2002.3.25)
四組の夫婦とその子供達。
子供の中学受験を控え、夏期集中特訓が避暑地の姫神湖湖畔の別荘地で行なわれた。
そしてそこへ並木俊介の愛人である高階英里子が訪ねてき、一晩合流する
ことになり、、、そして彼女が殺害された。
そして俊介の妻、美菜子が、自分が殺害したと告白した・・・
さまよう刃
朝日新聞社 (2004.12.30)
母親が病死し、父子家族となった長峰親子。
娘は、高校の友達と花火大会へ行ったまま帰ってこなかった。
そして数日後、川に流されていた死体が見つかる。
その父親の元へ、一つの密告電話がかかってきた。犯人は二人組の少年と言う。
警察への連絡はとりあえず後まわしにし、その犯人の住まいであるという
アパートへと出向いた長峰は、薬物を注射した上で乱暴する様子を撮影した
ビデオテープを発見し、呆然とする。
そこへ犯人の一人が帰ってきた時、長峰は、台所にあった包丁を握り、
犯人の一人を滅茶滅茶に刺し殺していた。
警察に逮捕されても、少年法によって大した罪を問われないと考えた長峰は、
もう一人の犯人をも狙い始めた・・・
容疑者Xの献身
文藝春秋 (2005.8.30)
私立高校の数学教師の石神は、いつも近くの弁当屋『べんてん亭』で
弁当を買っていた。
目当ては、売り手の中年女性、靖子。
彼女は、娘の美里とともに、石神の隣りの部屋に住んでいた・・・
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