井上夢人

1950年生まれ。


ダレカガナカニイル…
新潮社 (1992.1.20)

関東警備保障に勤める西岡悟郎は、軽い気持ちでやった不祥事から 配置転換され、山梨県小淵沢の奥、大高村へとやってきた。 何も知らされずにやってきたのだが、勤務地へ向かう途中に新しい同僚から 聞かされたところによると、どうやら非常にヤバい所らしい。 振興宗教の施設の警備であるが、周辺住民や信者の家族から訴えが出され、 暴力事件まで発生していると言う。 そしてその初日のドライブ中に、彼らの洗礼を受けた・・・


オルファクトグラム
講談社ノベルズ (2001.12.5)・・・毎日新聞社 (2000.1)

バンド「チャーリー・ブラウン」の自主制作のCDが出来たので、 早速、祖師谷に住む姉の千佳ちゃんに見せに行った。 秋本千佳子は僕、片桐稔の実の姉で、結婚した後も家出した僕に 資金面でいろいろ融資してくれていたのだ。 ところが行ってみると、玄関のドアが開いたままだが声をかけても誰も出てこない。 入ってみると、きれい好きな姉にもかかわらず、廊下に足跡。 そして二階から、何か物音が聞こえてくる・・・ 声をかけながら二階へ上がってみると、寝室の中で姉貴が全裸で ベッドに大の字に縛りつけられていた。 両手足を黒いベルトで固定され、顔の下半分にはガムテープが貼られている。 慌てて助けようと近寄ったとき、後ろから殴られ、意識が途切れた・・・ 気が付くと病院のベッドの中。ただ、何だか様子がおかしい。 不思議なクラゲのようなものがあちこちに漂っているのである。 次第にそれが嗅覚に関係していることが分かってきて、 僕は臭いを失った変わりに人間どころか犬以上の嗅覚を得たのである。 病院では、1ヵ月ほど意識が戻らなかったらしい。 殴られたショックで脳内で出血し、その血液が圧迫して、一時は頭の左半分が ほとんど潰れていたらしい。 頭蓋骨に穴をあけ、血液を取り出して、ようやく回復したのだと言う。 退院してみると、バンドのメンバーの一人であるミッキーが失踪していると言う。 そして僕は、バンド仲間のマミやホーリューと共に、 ミッキーの行く方を追い、そして姉貴を殺した犯人を追う。。。 そう、この僕の異様に良くなった嗅覚を駆使して・・・



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