伊坂幸太郎
1971年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。
アヒルと鴨のコインロッカー
東京創元社 (2003.11.25)
大学に通うため、関東地方から仙台へとやってきた僕、椎名。
アパートの隣には、河崎という男が住んでいて、引っ越してきた当日に会った。
そして、一緒に本屋を襲わないかと誘われた・・・
ラッシュライフ
新潮社 (2002.7.30)
日本最大規模の画商である戸田、そしてそこに属している画家の志奈子。
彼らは商談のため、新幹線で仙台へと向かっていた。
泥棒である黒澤は、朝マンションから出てくるとき、丁度隣りの住人と
鉢合わせになった。
高橋を中心とする新興宗教のメンバーである河原崎は、先輩にあたる
塚本に呼び出されて待っていた。
夫を殺し、青山の妻を殺して青山と一緒になろうとしていた京子は、
その朝夫から、離婚の申し出の電話を受けていた。
そして、リストラされて40社目の面接に落された豊田は、
自暴自棄になりながら駅のまわりを放浪していた・・・
陽気なギャングが地球を回す
祥伝社ノベルズ (2003.2.20)
人間嘘発見器の成瀬、天才スリの久遠、演説の名人の響野、
正確な体内時計を持つ雪子。
彼ら四人は、プロの銀行強盗である。捕まったことは一度もない。
今回も、銀行強盗は成功したはずだったが、その逃走中に
現金輸送車襲撃犯の車と交通事故をおこし、奪った金を強奪された・・・
グラスホッパー
角川書店 (2004.7.30)
二年前妻を交通事故で亡くし、その時の加害者が政界とつながる大物の
息子であるために何も罰せられていないことを知り、彼らに復讐しようと
その大物の経営する会社に就職して機会を伺っている鈴木。
人に自殺をさせる事を仕事にしている鯨。
女・子供構わず誰であろうと殺害していく殺人者蝉。
大物の馬鹿息子が「押しや」と呼ばれる殺し屋に押されたらしく、
交通事故で死亡したことから、彼らと、彼らのまわりの人々とを巻き込んで、
物語は進んでいく・・・
重力ピエロ
新潮社 (2003.4.20)
異なる父親を持つ私、泉水と弟の春。
弟は、性的なものに憎しみに近い嫌悪を抱いていた。
そんな弟が、最近仙台市内で起こっている連続放火事件を予告するような
電話をかけてきたのが始まりだった・・・
オーデュボンの祈り
新潮社 (2000.12.20)
ソフトウェア会社に勤めていたが、目が悪くなって辞職した伊藤は、
自分でも分からないうちにコンビニ強盗をしていた。
すぐに捕まったのだが、捕まえられた時に来た警察官が、かつての同級生、
城山であった。
ところが、警察署へ護送される途中、交通事故にあい、その隙に逃げ出した。
そして気がついたら、誰も知らなかった島にたどり着いていた。
そこには、未来のことが分かり、島民の絶対の信頼を勝ち得ている
しゃべる案山子がいた・・・
チルドレン
講談社 (2004.5.20)
- バンク
「小説現代」'02年4月号
鴨居は陣内につれられて、閉店間際の銀行にやって来た。
半分シャッターの降りた銀行内に入ったところ、嫌な顔をされた。
その直後、銀行強盗が踏み込んできた・・・
- チルドレン
「小説現代」'02年11月号
家庭裁判所で調査官をやっている武藤(鴨居と同一人物?)。
今回彼の担当することになった少年は、少し手強かった・・・
- レトリーバー
「小説現代」'03年9月号
永瀬と優子は、仙台駅のペデストリアンデッキにあるベンチに
二時間以上座っていた。
陣内が告白をし、見事にふられた後、彼に付き合っていたのだ。
しかし、彼らのまわりにも、二時間以上動かない人物が何人もいた・・・
- チルドレンII
「小説現代」'03年12月号
家事担当になった僕は、ある夫婦の離婚の調停を担当していた。
どちらも、離婚には賛成しているものの娘の親権は絶対に譲らないと
言い張っていた・・・
- イン
「小説現代」'04年3月号
陣内がバイトをしているというデパートの屋上にやってきた優子と永瀬。
優子が飲み物を買いに行っている間に、陣内がやってきた。
いつもなら足音で分かるのだが、ところが今日は全く気がつかなかった・・・
魔王
講談社 (2005.10.20)
- 魔王
人に同化して、自分の思ったことをその人物に言わせることが出来る。。。
その能力に気付いた俺、安藤は、世間の皆が野党の犬養の主張に
疑いも持たずに賛同し始めるのに危機感をいだき、
それを止めようとした・・・
- 呼吸
お兄さんが、犬養の演説会場で突然、脳溢血で倒れて亡くなってから、
弟である潤也君は悲嘆にくれていた。
だがそれも、5年が経ち、私と結婚してから3年が経つ今になっては、
だいぶん元の通りになってきていた。
そんな時、突然潤也君が仙台に行くと言いだし、私も転職して
一緒にやってきた・・・
死神の精度
文藝春秋 (2005.6.30)
- 死神の精度
「オール讀物」2003年12月号
今回の仕事のターゲットは、メーカーの苦情係の22歳の女性、藤木一恵。
うまく近づいた私は、彼女が一人の男性にからまれるのを目撃した・・・
- 死神と藤田
「オール讀物」2004年4月号
今回のターゲットは、やくざの45歳の男性、藤田。
ふとした事から、敵対する組の頭である栗木の命を狙っていた・・・
- 吹雪に死神
「オール讀物」2004年8月号
今回のターゲットは、医者の家族の主婦、田村聡江。
旅行会社の抽選に当たったと言って、雪で隔離された洋館へと
やってきていた・・・
- 恋愛で死神
「オール讀物」2004年11月号
今回のターゲットは、ブティック勤めの23歳の男性、荻原。
つい最近、隣りのマンションに住む古川朝美と出会ったのだが、
彼女の所にはストーカーが迫ってきていた・・・
- 旅路を死神
「別册文藝春秋」255号
今回のターゲットは、母を刺し、若者を刺し殺して車に乗り込んできた、
20歳の男性、森岡耕介。
そのまま、十和田湖の奥入瀬へと向かう・・・
- 死神対老女
「オール讀物」2005年4月号
今回のターゲットは、海の見下ろせる美容院で一人髪を切り続けている
70過ぎの女性であった。
彼女は、明後日、十代の若者男女2人ずつお客として呼んできて欲しいと言う。
そして実は彼女は、以前出会ったことがあったという事が分かった・・・
砂漠
実業之日本社 (2005.12.15)
仙台の国立大学法学部の北村、鳥井、南、東堂、そして西嶋。
彼らは同クラスの学生で、大学入学後の第一週に開催された飲み会で出会った。
北村は盛岡出身で、物事を少し離れて冷めた目で見る男子学生。
鳥井は横浜出身で、やませみに似た髪型をしている明るい男子学生。
南は練馬区出身で、実家が車のディーラーをしている女子学生。
彼女は何と、スプーン曲げやら手を使わずに物体移動やらをやってのける。
東堂は地元仙台出身で、モデルをやっているのかと思われるような美しい女子学生。
そして西嶋は千葉出身で、これと思う自分の考えを、まわりを全く気にせずに
貫き通すラモーンズ好きの男子学生。
西嶋に誘われ、東西南北の漢字を持つ彼らは、ブルジョア学生鳥井の
マンションで麻雀をし、交流が始まる。
合コンからボウリングに移り、そこでホストに絡まれた春。
その合コンで知り合った長谷川さんにそそのかされ、出かけて行った先で
ひどい目に合った鳥井を、みんなで何とか励ました夏。
大学祭で超能力に関する討論会(対決)にやってきたゲストに振り回された秋。
連続強盗犯、そして連続窃盗犯に関する事件のあった冬。
彼らの学生生活はどんどんと過ぎて行き、社会という砂漠へと踏み出す日も
どんどん近づいてくる・・・
終末のフール
集英社 (2006.3.30)
「あと8年後に小惑星が地球に衝突して、人間は滅びる...」
そんな予測が5年前に発表された。
発表直後は大混乱に陥り、みんなが食料買い占めに走り、どこかへ逃げようと
道路は大渋滞し、うさ晴らしに暴力が横行し、生き延びるのが精一杯だったが、
ようやくみんなが落ち着きを取り戻した(諦めた?)頃の、仙台北部の住宅街での
住民の様子を描いた、連作短篇集。
- 終末のフール
学力、器量ともに良く、申し分のない進路を進んだ娘に対し、
すぐに愚痴が出てきてしまう息子。
ところが、その娘も実は、心の中ではいつも学力を落とせないと、
プレッシャーを感じていた・・・
- 太陽のシール
優柔不断大賞の富士夫は、妻の美崎から妊娠を告げられ、
生むべきか生まざるべきか悩む・・・
- 籠城のビール
空き巣の常習犯が妹のマンションに籠城し、その後解放されたものの、
今度はマスコミの取材攻撃にあって自殺してしまった。
その復讐に、テレビ中継で司会をしていた人気アナウンサーの家に
籠城した兄弟は・・・
- 冬眠のガール
父親の書斎にある本を読破するという目標を立て、4年間で二千数百冊の
蔵書を読破した美智。
次の目標は、恋人を作ることになった・・・
- 鋼鉄のウール
小学生の頃、一つ上の上級生を負かしたいと思って通い始めたジム。
小惑星衝突予定発表後のゴタゴタでしばらく遠ざかっていたが、
ある日来てみると、会長と苗場さんとが練習にうちこんでいるのを見て、
再び練習を始めた・・・
- 天体のヨール
首吊り自殺をしようとして失敗したところへ、大学時代の同級生の
二ノ宮から電話がかかってきた。
そして、20年ぶりに会うことになった・・・
- 演劇のオール
朝起きて、近所のおばあちゃんの早乙女さん、妹の亜美、子供の勇也と優希、
恋人の一郎、そして翌朝、廃屋となった酒屋の犬と、順番にまわっていく。
もちろん、自分と全ての人(犬)との関係は全くなく、役割を演じるのだ・・・
- 深海のポール
レンタルビデオ店の店長の修一は、妻、娘、そして父親と共に暮らしていた。
父親は、小惑星の衝突時には洪水が起こると映画で知ってから、マンションの
屋上に櫓を建て始めている・・・
陽気なギャングの日常と襲撃
祥伝社ノン・ノベル (2006.5.20)
『陽気なギャングが地球を回す』の続編。
他人が嘘をついているかどうかを見破ることの出来る成瀬は、市役所の
地域生活課の係長。
窓口にいちゃもんをつけにきた一市民の門馬が、事件に巻き込まれている中
発見したあることを読み取り、強盗犯の逮捕に繋げた。
演説の達人の響野は喫茶店(?)のマスター。
客の藤井の出会った「幻の女」(泥酔しているうちにアパートに引き込んだ?
らしい)を一緒に探し出す。
正確な体内時計を持つ雪子は、事務仕事専門の契約社員。
そこの社員の鮎子が、副業でやっているアルバイト先のダイニングバーで
手に入れた、劇場の招待券の謎を突き止める。
天才スリの久遠は、公園で殴打されていた和田倉を助け、強盗グループに
引き込まれないようにする手助けをした。
以上、彼ら陽気なギャングの日常。
そして彼らはいつも通り(?)、銀行の襲撃を行った。
金はいつも通り強奪できたものの、今回はちょっと勝手が違っていた。
強盗に入った銀行にいた客の中に、成瀬の職場の部下、大久保の恋人が
いたのだ・・・
フィッシュストーリー
新潮社 (2007.1.30)
- 動物園のエンジン
10年前、大学時代の先輩の河原崎さんと夜の動物園へと行った。
そこで働く、大学時代の同輩恩田さんの計らいで入園できたのだ。
そして、シンリンオオカミの檻の前でうつぶせに寝ている
永沢という男を見つけた・・・
- サクリファイス
仙台南郊にあり、山形県との県境近くにある小暮村。
そこへ山田という人探しに出かけた黒澤は、その村に伝わる
「こもり様」という奇妙な風習に出会った・・・
- フィッシュストーリー
『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、
鯨でさえ逃げ出すに違いない』
ある小説の一節であり、あるロックバンドの歌詞にもなっている
このフレーズを巡り、人は繋がっていく・・・
- ポテチ
空巣に入り、入った先の家で漫画を見つけて読み漁る今村。
一緒についてきた大西は、一年前に今村と中村とが、空巣に入った先に
「死んでやる!」という電話をかけ、駆けつけた彼らに自殺を
引き留められた経歴を持つのであった・・・
ゴールデンスランバー
(2007..)
首相就任後、初めて故郷の仙台へと戻り、パレードを挙行した金田首相。
ところがその最中、爆弾を積んだラジコンヘリが飛んできて爆発。
首相は暗殺されてしまった。
仙台市内には、直ちに厳戒体勢が敷かれる。
そしてその直後には、警察庁が一人の容疑者を追っていた。彼の名は、青柳雅春。
ところがこれは、濡れ衣であった。
犯人にされてしまった青柳は、どうすれば良いのか・・・
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