菅野仁
1960年、宮城県仙台市生まれ。東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程修了。
友だち幻想
ちくまプリマー新書 (2008.3.10)
ちくまプリマー新書079。副題は「人と人の<つながり>を考える」。
日本の高校生は、友だちが大切と考える人が多い。
一方、友だちに関する悩みや問題を抱え込んでもいる。
これは、「人と人とのつながり」に関して、常識として曖昧なまま
過ごして来てしまっていることに原因はないだろうか?
これを、もう一度根本から見直してみてはどうだろうか?
- はじめに−−「友人重視指向」の日本の高校生
- 第1章 人は一人では生きられない?
- 一人でも生きていける社会だからこそ<つながり>が難しい
- 「親しさを求める作法」が、昔とは違う
- 第2章 幸せも苦しみも他者がもたらす
- 二種類の人と人とのつながり
- 人は一人でも生きていけるが、一人だけではなんとなく空しい
- 「自己充実」−−幸福のモメントその一
- 「他者との交流」−−幸福のモメントその二
- (1)交流そのものの歓び
- (2)他者から承認される歓び
- 他者=自分以外のすべての人間
- 「見知らぬ他者」と「身近な他者」
- 他者の二重性
- (1)「脅威の源泉」としての他者
- (2)「生のあじわいの源泉」としての他者
- 人は他者の二重性に振り回される
- 第3章 共同性の幻想−−なぜ「友だち」のことで悩みは尽きないのか
- なぜいない人の悪口を言うのか−−スケープゴートの理論
- 心が休まらない「メール即レス」
- 同調圧力−−友情が強迫になる
- ネオ共同性−−現代の新たな圧力
- 同質性から並存性へ
- 「一年生になったら」−−「同質的共同性」指向の原点
- 昔は「同質的共同性」だけでよかった
- 「やりすごす」という発想−−無理に関わるから傷つけあう
- 「ルサンチマン」は誰の心にも生じることがある
- 適切な距離は人によって違う
- 第4章 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」
- 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」に分けて考えよう
- 「フィーリング共有関係」だけで考えるといじめはなくならない
- 「フィーリング共有関係」の負の部分
- ルールは「自由のため」にある!
- 誰かをいじめると、自分がいじめられるリスクが生まれる
- だから「気に入らない人とも並存する作法」が大切
- ルールは必要最小限にしたほうが、ルール関係は築きやすい
- 第5章 熱心さゆえの教育幻想
- 先生は生徒の記憶に残らなくてもいい
- 「話せばわかる」も幻想
- 個性教育よりもまずやるべきこと
- 第6章 家族との関係と、大人になること
- 家族をとらえる二つのキーワード−−「定位家族」と「生殖家族」
- 親の「包摂志向」と子どもの「自立志向」がぶつかり合う思春期
- 大人になるということ
- 君たちには無限の可能性もあるが、限界もある
- 第7章 「傷つきやすい私」と友だち幻想
- 目上の人との距離感
- 異質な他者とのつきあい
- 「傷つきやすい私」とのつきあい方
- 「友だち幻想」
- 恋愛こそ幻想を持ちやすい
- 第8章 言葉によって自分を作り変える
- 関係が深まらない「コミュニケーション阻害語」
- (1)「ムカツク」と「うざい」
- (2)「ていうか」
- (3)「チョー」「カワイイ」「ヤバイ」
- (4)キャラがかぶる、KY(空気読めない/空気読め)
- 言葉を得なければ、世界も自分もとらえられない
- 読書は対話力を鍛える
- 苦しさを通して得られるもの
- 楽しても楽しくない
- おわりに−−「友だち幻想」を超えて
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