桐野夏生
1951年、金沢生まれ。成蹊大学法学部卒業。
OUT
講談社 (1997.7.15)
数年前に建てた新築の家に住む香取雅子。
しかし、そこに住む家族には、もはや真の意味での意思疎通はなかった。
夫の良樹は会社では出世街道から外れ、家に帰って来ても一人で閉じこもっている。
そして一人息子も、ちょっとした偶然と不運とが重なって高校を退学になった後、
佐官屋の手伝いのアルバイトはしているが、ほとんど口をきかなくなってしまった。
そして雅子は、近くの弁当屋の夜間アルバイトに働きに出ている。
そのアルバイト先では、ヨシエ、邦子、弥生の三人と親しくしていた。
誰も余裕のある生活ではなく、しかたなく少しでも割の良い夜のアルバイトに
来ている仲間であった。
その弥生がある日突然、自分の夫の健司の首を絞めて殺してしまったと
電話してきた・・・
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