三浦綾子
1922年4月25日、北海道旭川市生まれ。旭川私立高等女学校卒業。1999年10月12日死亡。
氷点(上・下)
角川文庫 (1982.1.30)
辻口夏枝が村井医師と二人だけで会っている間に、外に追い出したルリ子が
殺害された。
夏枝の夫啓造は、何となくその事を察したが、口に出して問い詰めることは
出来なかった。だが、夏枝を許すことは出来なかった。
啓造は、ルリ子の代わりの女の子を欲しがる夏枝を騙し、ルリ子を殺した犯人の
子供陽子を夏枝に育てさせる。だがそれは、啓造自身をも苦しめる事であった。
陽子は明るく素直な子供であった。
だがある日、夏枝は陽子の親の事を知ってしまう。
陽子自身もまた、自分はもらい子だと知ってしまう。
だが、陽子はその環境にも敗けずに素直に育っていった。
ルリ子、そして陽子の兄である徹もまた、陽子の秘密を知ってしまうが、
それによって妹を女性として見始めてしまう。
それに苦しみ、大学に通うために借りていたアパートの同室の北原を陽子に
近づけようとするが、それが自分にとって良いことなのか悪いことなのか、
悩み、苦しむことになる。
だが、陽子と北原との間は、親密になっていった。
それを夏枝はおもしろく思わなかった。
夏枝は、陽子の親の話を北原と陽子の前で話してしまう。
そして、それを聞いた陽子は、自殺をはかった・・・
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