乃南アサ

1960年、東京生まれ。早稲田大学中退。


ライン
講談社文庫 (1997.11.15)・・・『パソコン通信殺人事件』講談社ノベルズ (1990.8)

大学受験三浪中の小田切薫は、パソコン通信を始め、そこでのサービスの 一つであるステイションにはまっていた。いわゆるチャットシステム。 初めは騙すつもりは全くなく、自分の名前である"KAHORU"をIDにしていたが、 それを見た人が勝手に勘違いをして女と思いこんでいたため、最初は面白半分で、 そしてしばらくしてからは、いまさら訂正できないという気持ちで、女として 振舞っていた。そして、それを楽しんでもいた。 ところが、そんな中には実際に会いたいと言いだすものもおり、会う約束も していたが、実際に会えるはずはない。 ところが、地方から薫に会いにきた男性二人が、公衆便所の中で殺害された。 もともと現実感のないステイション中での知り合いのことだったので、 大して気にはしていなかったのだが・・・


パラダイス・サーティー(上・下)
幻冬舎文庫 (1997.6.25)・・・実業之日本社 (1992.2)

29歳の誕生日、朝から何もかもがついていなかった大山栗子は、 夜の家族の喧嘩でとうとう家を飛びだし、中学からの親友菜摘の元へ転がり込んだ。 彼女は、オナベであったが、レズビアンバーを経営している。 ある日、彼女が酔っ払って、常連客である古窪伸を連れて帰ってきた。 一目惚れだった。 菜摘もまた、常連客の連れの女性に一目惚れをしていた。彼女の夫は 暴力団だったが、彼女を救い出してやりたいと考えていた。 そうして二人は、幸せな三十代を迎えるかに見えた・・・


風紋
双葉社 (1994)

夫、高浜稔が浮気をし、長女、千種が家庭内暴力を起こし、次女、真裕子だけは まともに育っているだろうかという一家の主婦、則子。 彼女は、次女の父母会に出掛けたまま、その日は帰って来なかった。 父親はゴルフに出掛け、姉はどこに行ったか分からないまま、真裕子は一人で 夜をすごした。 そして三日後、則子の死体が発見された・・・


凍える牙
新潮社 (1996.4.20)

深夜のファミリーレストランで、客の一人が突然炎を上げて燃え出した。 翌朝の現場検証で、過酸化ベンゾイルと簡単な時限装置が使われた、 殺人事件だと判明してきた。 警視庁第三機動捜査隊立川分駐所の隊員、音道貴子は、所轄の刑事の滝沢と 組むことになった。 さらに数日後にベイエリアで、巨大な野犬のようなものにかみ殺された死体が 発見された・・・



講談社 (1996.12.10)

耳の不自由な麻里子は、仕事をせず気ままに暮らしている兄、俊太郎、 もうすぐ結婚を控えている姉、秀子とともに暮らしていた。両親はもういない。 そこへ、兄の友人であり新聞記者である有作が時々家にやってくる。 新聞社の社内を案内してもらう約束をしていた日曜日、突然事件が起こって 有作は仕事に追われてしまうことになった・・・


[身區]
文藝春秋 (1999.9.30)



幻冬社 (2000.12.10)

結婚の準備を着々と進め、式まで約一カ月となった、東京オリンピック開催前夜、 突然電話で、別れを告げられた萄子。 その後殺人犯の嫌疑がかけられるが、警察官であり婚約者だった勝は姿を 消したままあらわれない。 納得できず、それでも勝の無実を信じて、必死に彼の行方を探す・・・


晩鐘(上・下)
双葉社 (2003.5.20)

風紋の続編。
あの忌まわしい事件から、7年が経過した。 だが、高浜真裕子の心は、未だに閉ざされたままであった。 もちろん、高校と大学を卒業し、OLになって社会人の生活を続けてはいたが、 人間はもちろん、動物も含めた生き物が全て信じられない状態になっていた。 父親は再婚し、姉は結婚して子供もできているというのに・・・



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