大崎梢
東京都生まれ。
配達あかずきん
東京創元社 (2006.5.25)
駅ビルの6階にある書店、成風堂。
ここで、コミックと児童書を担当する木下杏子と大学生アルバイトの多絵が、
書店で次々と発生するちょっとしたミステリーを解決していく・・・
- パンダは囁く
近所の老人から、本を買ってきてくれるように頼まれたと、
塾の講師がやってきた。
ただ、その頼まれた本が分からない。。。
『あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに』
そして、出版社はパンダだという・・・
- 標野にて 君が袖振る
三十代後半と思われる女性が話しかけてきた。
彼女の母親が、どうやらここで買った本がもとで、失踪してしまったという・・・
- 配達あかずきん
本の配達先の一つ、美容院の「ノエル」が、今とんでもない苦境に
立たされている。
ここの常連客の一人がパーマをかけている最中、手に取ってみた月刊誌の間に、
彼女を盗撮した写真と、彼女を中傷するようなマジックの殴り書きが
出てきたのだ・・・
- 六冊目のメッセージ
最近まで入院していた若い女性客がやってきて、入院中に母が
差し入れてくれた本が、実はこちらの男性の店員さんに薦めて
もらったもので、非常に良かったので一言お礼を言いたいとやってきた。
しかし、その薦めた本というのは、
『宙の旅』林完次著
『散策ひと里の花』河合雅雄
『ダヤンのスケッチ教室』池田あきこ
『民子』浅田次郎
『夏への扉』ロバート・A・ハインライン
こんなバラバラな、しかし的確な取り合わせ、
一体、誰が薦めたと言うのか・・・
- ディスプレイ・リプレイ
出版社の販促活動の一つとして、本屋向けにコンテスト形式の賞を設定し、
店頭にきれいに飾り付けをして様子をレポートしてきた中から優秀なものに
豪華商品を送るというのがある。
それに、最近入ってきた大学生のバイト、角倉夕紀が参加したいと
言ってきた・・・
晩夏に捧ぐ
東京創元社 (2006.9.29)
駅ビルの六階の書店「成風堂」で働く木下杏子と大学生アルバイトの
西巻多絵のコンビは、書店で発生する様々な謎を解決していく・・・
そんな噂が広まったからか、元同僚で今は田舎のまるう書店で働く有田美保から
助けを求める手紙が舞い込んだ。
まるう書店で幽霊が出るようになったので、是非やって来て解決して欲しい・・・
杏子はあまり乗り気ではなかったが、多絵に押し切られるようにして
美保の待つまるう書店へと出掛けることになった・・・
サイン会はいかが?
東京創元社 (2007.4.27)
駅ビルの六階の書店「成風堂」では、今日も小さなミステリー。
正書店員の木下杏子のまわりで発生するいろいろな事件を、
大学生アルバイトの西巻多絵が大活躍して解決する・・・
- 取り寄せトラップ
廃刊で本が手に入らない!
注文したお客さまにそういう連絡をしてみたら、お客さまの方では
そんな注文をした事は一度もないという。
しかも、同じ本についての4つの注文全てについて。
電話代以外の実質的な損害はないのだが、気になる話。
ところがしばらくして、同じ4人のお客さま名義でまた同じ本の注文があった。
しかも、今度も本は手に入らなかった・・・
- 君と語る永遠
近所の小学生が、社会科の校外学習にやって来た。
ところがその中の1人が、ちょっと妙な質問をしてくる。
しかも、広辞宛を高い柵から下ろそうとして・・・
- バイト金森くんの告白
新人歓迎会の席上で、バイトの金森くんが、書店であった恋物語を始めた・・・
- サイン会はいかが?
人気作家の影平紀真先生が、新刊発表会記念のサイン会をする場所を
探しているという。ただし、一つの条件付き。
これまで手紙やプレゼントをくれる熱心なファンがいるが、ペンネームのみの
やり取りなので、本人を見つけられない。
それを見事、解き明かしてくれる店員さんのいる書店で開きたいと・・・
- ヤギさんの忘れもの
いつも良くやってくる、蔵本という老人がやってきた。
白い封筒に入れた写真を持って、いつも話をしている名取という
アルバイトさんを訪ねて。
しかしその前の週、名取さんは退職して青森へと引っ越して行ったのだ。
それに落胆したためか、手に持っていた白い封筒を
亡くしてしまったようだと言う・・・
片耳うさぎ
光文社 (2007.8.25)
大崎さんの、初のシリーズ外作品。
突然、とんでもない事態に追い込まれてしまった小学六年生、蔵波奈都。
東京近郊の新興住宅地に住んでいたのだが、父親が友人と共同で
経営していた会社が倒産し、父親の実家へ移り住むことになった。
関東北部の仲上村という小さな村の大富豪であった。
家は古くて大きく、小学生の奈都には威圧感ばかりが感じられる。
そんな生活が始まって一ヶ月ほどした頃、母方の祖母が体調を崩し、
母はその世話をしに出掛けてしまった。
その日のうちに戻ってくると思っていたものが、何と、週末まで戻って
来れないと連絡があった。
あの大きな家で一人で過ごすのは、奈都には辛すぎるのだ・・・
- 1.一日目 火曜日
- 2.二日目 水曜日
- 3.三日目 木曜日
- 4.四日目 金曜日
- 5.エピローグ
平台がおまちかね
東京創元社 (2008.6.30)
大崎さんの「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」シリーズ第一弾。
ハートフル・ミステリー(?)短編集。5編を収録。
大学生の間に2年間アルバイトをしていた明林書房に就職した井辻智紀。
ある理由から、どうしても編集部にはいきたくない、正確には
いってしまったら仕事が出来そうにない。
そこで(?)、営業部に配属され、100店舗ほどをまわる日々が始まった。
直属の上司や他社の営業部員とのやりとりにもやっと慣れてきた頃、・・・
- 平台がおまちかね
ある一冊の古い本だけが売れている書店がある事に気付いた。
翻訳本で、そうやすくない。しかも、他店ではあまり目立たない本。
ここは、前任者から引き継いで以来、これまで一度も訪れたことがない。
井辻は、さっそくその店を訪れてみた。
ところがそこで会った店長かつ経営者の綿貫さんに、突然、
「もう帰ってくれないか」そう言われてしまった・・・
- マドンナの憂鬱な柵
他社の営業男性で作る「マドンナの笑顔を守る会」に強制入会させられた井辻。
マドンナというのはハセジマ書店の望月みなみさん。
いつも仕事熱心で、こまかな気配りをし、営業の人にも愛想が良い。
しかしその望月さんが突然、負のオーラを漂わせていると言う・・・
- 贈呈式で会いましょう
明林書房の社を挙げての最大イベント、宝力宝賞の贈呈式、
並びに記念パーティ。
今年この賞を受賞したのは、地方在住の新人作家、塩原健夫。
東京駅からタクシーに乗って2時には到着する予定だった彼が、4時を回っても
会場のホテルにやって来ない。
贈呈式は6時から始まってしまうというのに・・・
- ○ 絵本の神様
東北地方は福島に営業にやってきた井辻。
やっと到着した店舗は、店を畳んでしまっていた。
店の前でしばらく呆然とした後、隣りの蕎麦屋の人に声をかけてみた・・・
- ときめきのポップスター
某大型書店のフロアマネージャーに呼ばれ、ポプコンへの参加を
要請された井辻。
ポプコンと言っても、ポピュラーソングコンテストではなく、
ポップ販促コンテスト。参加者は出版社の営業部員。
自社本と他社本、一冊ずつ選び、ポップを制作。平台に並べ、
売り上げ数を競う。
ただし、カウントするのは他社本の売り上げ冊数。
そして「とっておきの一冊」「埋もれてしまった本の発掘」をするべく、
現在ランク付けの高い本を選ぶと、ペナルティー。
そして見事一位に耀くと、翌月一ヶ月間、その人の所属する出版社の本で
平台を埋めつくすという賞品付き。
どこからどう見ても、書店にうまみのある企画。
しかし、参加しないわけにはいかない。
何せ、経費ゼロで大型店の正面平台を独占できるチャンスなのだ。
そして戦いは始まった・・・
夏のくじら
文藝春秋 (2008.8.10)
子どもの頃、長期の休み毎に預けられていた高知の父方の実家。
そこで中学三年の夏、従兄弟の多郎に連れられ、初めてよさこい祭りに参加した篤史。
もう二度と参加することはないと思っていたのに、自分でも
良く分からないうちに何故か高知大学に入学することになり、
再び高知へと戻ってきた。
そして多郎から、今年はスタッフとして参加するように強引に誘われた・・・
- プロローグ 四年前
- 四月 祭りの町
- 五月 恋する衣装
- 六月 鳴子によろしく
- 七月 地方車は夢を見る
- 八月十日 アスファルト・ダンシング
- 八月十一日 花メダルをこの手に
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