恩田陸

1964年、宮城県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。


いのちのパレード
実業之日本社 (2007.12.25)
無国籍で不思議な短編集を作ろうと、「奇想短編シリーズ」として3年半に渡って連載してきた作品をまとめたもの。


きのうの世界
講談社 (2008.9.4)
大きくはないが、小さすぎる事もないM町。 その中心にあるM駅には、特急は止まらないが、急行は止まる。 そしてその町のシンボルは、町の中心にある塔。 本当は3本なのだが、1本は壊れてしまって以来、一向に直される様子はない。 町のシンボルなのだから、修復して売りにするべきかと部外者は思うのだが、 町民たちは驚くほど塔には無関心である。 そしてもう一つの町の売りは、至る所にはり巡らされた水路。 周辺よりも雨の降る量が多くその保水池としての役割を持ち、さらに周りの田畑への 灌漑のためにゆっくりと流して水を温める役割をも持つ。 そしてそんな町の奥の丘にある水無月橋で、ある冬の早朝、死体が発見された。 その被害者は、一年前まで東京で真面目なサラリーマンをやっていたが、 何の前触れもなく突然失踪し、この町へとやって来た男であった。 彼はこの地の出身ではなく、それまでは一度も訪れた事はなかったのであったのだが・・・


猫と針
新潮社 (2008.2.20)
恩田さんが初めて書いた戯曲。 演劇集団キャラメルボックスによって東京(2007.8.22-9.9)と 福岡(2007.9.13-16)で公演された。 葬式帰りの男性3人と女性2人が、集まって話をする。 帯の文句は「人はその場にいない人の話をする」。


中庭の出来事
新潮社 (2006.11.29)
中庭の出来事。正に、タイトル通り (笑) ある脚本家が死んだ。犯人は誰か?婚約者?それとも女優? それとも自殺あるいは事故なのか? ある脚本家が、服毒して死んだ。犯人は誰なのか?それとも自殺? あるいは単なる事故なのか? 女優が服毒して死んだ。犯人は誰なのか?自殺?それとも事故? ある就職活動中の女性が中庭で心臓発作で死んだ。 ところが、彼女を目撃していた三人の者の証言が食い違っている。どうして? 幽霊劇場と噂される、廃線された鉄道の駅を改造して作られた夏のみの劇場。 この幽霊の正体とは? 謎は、あちこちに散りばめられています。 それが最後には、どんどんまとめ上げられ... しかし、あるものは、謎のまま残される・・・


木洩れ日に泳ぐ魚
中央公論新社 (2007.7.25)
明朝、一緒に暮らしてきたアパートを引き払い、別れる予定のアキとヒロ。 お互い、何も言わずとも分かり合い、幸福の絶頂だったこの若い二人が、 とうとう明日分かれることになった直接のきっかけは、一年前の 登山を兼ねたハイキング旅行。 それ以来、互いが互いを疑惑の目で見、どうしようもない居心地の 悪さとともに暮らしてきたのである。 そして別れる前の最後の夜、やはりあの旅行で遭遇した事故、あるいは 事件について、話さずにはいられなかった。 そしてその結果、意外な事実(?)が見えてくる・・・


朝日のようにさわやかに
新潮社 (2007.3.30)