恩田陸
1964年、宮城県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。
いのちのパレード
実業之日本社 (2007.12.25)
無国籍で不思議な短編集を作ろうと、「奇想短編シリーズ」として3年半に渡って連載してきた作品をまとめたもの。
- 観光旅行 "The Mysterious Tour"
石の手...ですか...
- スペインの苔 "Spanish Moss"
スペインの苔との関係が、良く分からない...
- 蝶遣いと春、そして夏 "Lament for a Papillon Master"
死者の季節ねぇ...
- 橋 "The Bridge"
WWIIの後処理次第では、現実のものとなったのかも...
- 蛇と虹 "Serpents and Rainbows"
確かに、どちらも虫偏!
- 夕飯は七時 "Supper's Ready at Seven"
想像力が豊かすぎるのは問題です!
- 隙間 "The Crack"
その向こうの暗闇ではなく、隙間が問題なのです
- 当籤者 "The Lucky Winner"
ラッキーなのか、アンラッキーなのか...
- かたつむり注意報 "Beware of the Snails"
巨大カタツムリ!
- あなたの善良なる教え子より "Your Virtuous Disciple"
良い殺人について...
- エンドマークまでご一緒に "It's Hard Being a Musical Star"
誰か観客がいるのか?
- 走り続けよ、ひとすじの煙となるまで "Run Until You Turn Into A Amoke"
走り続ける王国!
- SUGOROKU "Sugoroku"
「あがり」の本当の意味は...
- いのちのパレード "The Grand Parade"
生き物大集合!
- 夜想曲 "Voices"
ロボットと創造の神
きのうの世界
講談社 (2008.9.4)
大きくはないが、小さすぎる事もないM町。
その中心にあるM駅には、特急は止まらないが、急行は止まる。
そしてその町のシンボルは、町の中心にある塔。
本当は3本なのだが、1本は壊れてしまって以来、一向に直される様子はない。
町のシンボルなのだから、修復して売りにするべきかと部外者は思うのだが、
町民たちは驚くほど塔には無関心である。
そしてもう一つの町の売りは、至る所にはり巡らされた水路。
周辺よりも雨の降る量が多くその保水池としての役割を持ち、さらに周りの田畑への
灌漑のためにゆっくりと流して水を温める役割をも持つ。
そしてそんな町の奥の丘にある水無月橋で、ある冬の早朝、死体が発見された。
その被害者は、一年前まで東京で真面目なサラリーマンをやっていたが、
何の前触れもなく突然失踪し、この町へとやって来た男であった。
彼はこの地の出身ではなく、それまでは一度も訪れた事はなかったのであったのだが・・・
- 第1章 捨てられた地図の事件
- 第2章 日没から夜明けまでの事件
- 第3章 溺れかけた猫の事件
- 第4章 駅の掲示板の事件
- 第5章 紫陽花とハンカチの事件
- 第6章 川沿いに建つ洋館の事件
- 第7章 焚き火の神様の事件
- 第8章 点と線の事件
- 若月慶吾の幕間
- 第9章 同じ顔をした男の事件
- 第10章 散歩する犬たちの事件
- 図書館での幕間
- 市川吾郎の幕間
- 第11章 風が吹くと桶屋が儲かる事件
- 第12章 井戸と鋏の事件
- 第13章 帽子と笹舟の事件
- 第14章 不吉な電話の事件
- 第15章 彼女の事件
- 第16章 彼らの事件
- 第17章 彼らの事件の続き
- 第18章 私の事件
- 第19章 水無月橋の殺人事件
猫と針
新潮社 (2008.2.20)
恩田さんが初めて書いた戯曲。
演劇集団キャラメルボックスによって東京(2007.8.22-9.9)と
福岡(2007.9.13-16)で公演された。
葬式帰りの男性3人と女性2人が、集まって話をする。
帯の文句は「人はその場にいない人の話をする」。
- 『猫と針』口上
- 戸惑いと驚きと
- 猫と針
- 『猫と針』日記
中庭の出来事
新潮社 (2006.11.29)
中庭の出来事。正に、タイトル通り (笑)
ある脚本家が死んだ。犯人は誰か?婚約者?それとも女優?
それとも自殺あるいは事故なのか?
ある脚本家が、服毒して死んだ。犯人は誰なのか?それとも自殺?
あるいは単なる事故なのか?
女優が服毒して死んだ。犯人は誰なのか?自殺?それとも事故?
ある就職活動中の女性が中庭で心臓発作で死んだ。
ところが、彼女を目撃していた三人の者の証言が食い違っている。どうして?
幽霊劇場と噂される、廃線された鉄道の駅を改造して作られた夏のみの劇場。
この幽霊の正体とは?
謎は、あちこちに散りばめられています。
それが最後には、どんどんまとめ上げられ...
しかし、あるものは、謎のまま残される・・・
木洩れ日に泳ぐ魚
中央公論新社 (2007.7.25)
明朝、一緒に暮らしてきたアパートを引き払い、別れる予定のアキとヒロ。
お互い、何も言わずとも分かり合い、幸福の絶頂だったこの若い二人が、
とうとう明日分かれることになった直接のきっかけは、一年前の
登山を兼ねたハイキング旅行。
それ以来、互いが互いを疑惑の目で見、どうしようもない居心地の
悪さとともに暮らしてきたのである。
そして別れる前の最後の夜、やはりあの旅行で遭遇した事故、あるいは
事件について、話さずにはいられなかった。
そしてその結果、意外な事実(?)が見えてくる・・・
朝日のようにさわやかに
新潮社 (2007.3.30)
- 水晶の夜、翡翠の朝
湿原の中の陸の孤島に作られた、全寮制の学校。
ヨハンと校長、そして聖は、ジェイから『笑いカワセミ』という遊びについて
話を聞いていた・・・
- ご案内
いらっしゃいませ。さっそくご案内させて頂きます・・・
- あなたと夜と音楽と
大森マサトと池尻ミナがDJをつとめるラジオ番組『あなたと夜と音楽と』。
何だか変な見立てが始まり、殺人事件まで・・・
- 冷凍みかん
突然、何の関係もないのに預けられた冷凍みかん。それは・・・
- 赤い毬
私は一度だけ、母方の祖母に会ったことがある。
生まれたときには既に亡くなっていたはずなのだが、間違いない・・・
- 深夜の食欲
ボーイは、重いワゴンをゆっくりと押して、ルームサービスを届けるために
出発した・・・
- いいわけ
それは、瑞々しいオレンジ、大男が食べたカキ、誰かが隠しておいた
チョコレートバーのせい・・・
- 一千一秒殺人事件
星に殺された男の話。星とは・・・
- おはなしのつづき
白雪姫のお話をしてあげましょう。毎日少しずつ。そう、続きはまた今度・・・
- 邂逅について
少女はノートに何かを書いている・・・
- 淋しいお城
昔々、あるところに、淋しいお城がありました。
そこには「みどりおとこ」という、王様の家来が一人だけいて、
「みどりおとこ」は淋しい子供をさらってきます・・・
- 楽園を追われて
高校時代の文芸部の仲間の一人が、交通事故で突然亡くなった。
仲間あてに手書きの原稿を残して・・・
- 卒業
午前0時になれば、私たちは16歳。
すると卒業。そう、もうどこにだって行ける・・・
- 朝日のようにさわやかに
オランダのビール、グロールシュの壜。天才トランペッターのW・M。
京都の庭の池の蓮。そして心太・・・
小説以外
新潮社 (2005.4.30)
作家デビューから約15年、専業作家になってから約10年。
小説以外はあまり書くことはない恩田さんですが、さすがにこれだけの
年月の間には、ある程度書かれたものがあります。
それをまとめたエッセイ集。
エンド・ゲーム
集英社 (2006.1.10)
『光の帝国』『蒲公英草紙』に続く「常野物語」シリーズの第三弾で最終巻?
裏返されるのが恐ろしくて、いつも人目を避けて暮らしていた拝島一家。
ある日時子の父親は、一人のおばあさんと一緒に近所の公園から出て行ったきり、
帰って来なかった。
その後時子は、母親の瑛子と共にひっそりと暮らしていた。
それから10年以上経ったある日、時子が大学のサークルの合宿から帰って来てみると、
母親が倒れて意識が戻らないという連絡が入った。
急いで病院へ出向いてみると、昏睡状態ではなく、まるで眠り続けているという
状態であった。
果して、母親は、あれに裏返されてしまったのだろうか?
迷ったあげく、父親の残していったメモにある電話番号に連絡を取る
ことにした・・・
チョコレートコスモス
毎日新聞社 (2006.3.5)
特定の組織に属せず、特定のスポンサーに頼らず、コツコツ資金を集め、
自分の気に入った作品を気に入ったスタッフで納得できるまで時間を掛けて撮り、
配給まで行う、映画業界では伝説的な監督の芹澤泰次郎が、芝居の舞台を
手掛ける予定で、近々、オーディションをやる予定だという噂が流れている。
家族が皆役者であり、ものごころがついた頃からずっと当たり前のように
舞台に立ってきた東響子は、これが自分の本当にやりたいことなのか、
やっていく事が出来る分野なのか、と、他人から見たら贅沢に悩んでいた。
芹澤作品のオーディションに、六歳年上で遠い親戚の宗像葉月ちゃんに加え、
今、一緒に舞台をやっている、アイドル系の新人、安積あおいが呼ばれて
いるという。自分には全く声がかからなかったというのに...
それを知ったとたん、響子は・・・
MAZE
双葉社 (2001.2.15)
アジアの西の果ての地、延々と連なる岩山の間の深い谷を辿っていくと、
急に思いがけずだだっぴろい白い荒野が現われる。
その荒野の中に、灰色の小高い丘が見え、その頂上には、人工物なのか
自然の造形による物なのか判断できないような、直方体をした白っぽい建物がある。
近寄ってみると、一ヶ所だけ出入り口があり、中は人が一人だけ通れるような
迷路のようになっている。
そして、この中に入ったもののうち、まるで急に消滅してしまったように、
出てこない者が何人もいた。
アメリカの製薬会社に就職した学生時代の友人の神原恵弥に誘われて
この奇妙な建物の所までやってきた時枝満は、人が消える条件を推理して欲しい
という依頼を受けた。
莫大な報酬を提示されたが、非常に奇妙な依頼である。
彼らの他には、軍人のスコット、それに現地人らしいセリムが一緒におり、
昼間は多くの兵がやってきて、大量の機材を運び込んでいた・・・
ネクロポリス(上・下)
毎日新聞社 (2005.10.30)
旧、英国植民地の一つだった小さな島の地域V.ファー。
その北西に位置するアナザー・ヒルには、いろいろな伝説や風習が残っている。
ヒガンにアナザー・ヒルに入れるのは、地元の人と、その血縁者のみ。
そしてそこでは、『お客さん』と呼ばれる死者の霊と会うことが出来る。
そんな地域へ、東京大学大学院で民俗学寄りの文化人類を専攻している
一人の学生、ジュンイチロウ・イトウが入って行った。
彼もまた、V.ファーの遠縁にあたっていたのだ。
最初は、学問的な好奇心から。そして、様々な出来事に巻き込まれていく・・・
『恐怖の報酬』日記
講談社 (2005.4.25)
講談社編集部のK嬢と共に、初めての海外旅行へ出かけた恩田陸。
行き先は、小さい頃から憧れだった、イギリスとアイルランド。
しかし、そこへたどり着くためには、あれに乗らなくてはならない。
そう、空を飛ぶあれである・・・
蒲公英草紙
集英社 (2005.6.10)
少女時代を過ごした福島に近い宮城県内、阿武隈川沿いのゆるやかな
平野にある槙村の集落。
その名家である槙村家には、旦那様と奥様、それに五人の子供達がいた。
その敷地内に住むかかりつけの医者の一家が、私の家族でした。
槙村家の末っ子の聡子様は、自分より一つ年上でしたが、心臓が弱く、
二十歳まで生きられないだろうと言われていた。
そんな聡子様の話相手になるように言われ、私は槙村家に出入り
するようになった・・・
三月は深き紅の淵を
講談社文庫 (2001.7.15)・・・講談社 (1997.7.7)
- 待っている人々
鮫島巧一は、ある連休に、会長の家に招待された。
そこには会長を含めて4人の老人と一匹の犬が集まってきており、
みんな本好きであった。
そして、奇妙な噂のある『三月は深き紅の淵を』という本の話を
聞かされた・・・
- 出雲夜想曲
堂垣隆子は、江藤朱音と共に出雲への旅に出た。
『三月は深き紅の淵を』の作者と会うために・・・
- 虹と雲と鳥と
人口十五万人足らずの城下街の高台に位置する城址公園。
その崖下に、二人の少女が折り重なるようにして死亡していた。
一人は高校三年の篠田美佐緒、もう一人は別の高校二年の林祥子。
公園の展望台の手すりが壊れていたことから、事故で転落したものとして
処理されていた・・・
- 回転木馬
『三月は深き紅の淵を』この小説を書こうとしている私。
その思考の中には、いくつものストーリーが並行して進んでいた。
どれも私の作り出した話。そして同時に私の体験・・・
夏の名残りの薔薇
文藝春秋 (2004.9.30)
冬の始まる直前の晩秋、国立公園内にある山奥に立つ古いホテルを借り切って
催されるパーティー。
ホステスは、沢渡伊茅子、丹伽子、そして未洲子。
彼女達三人はそれぞれお茶会を催し、そこに招待客たちが順番に呼ばれて行く。
そしてメインの催し物は、ディナーの時に行なわれる、彼女達三人による作り話。
本当のことが混じっているかもしれないが、ほとんどが嘘だと思われている。
招待客は、彼女達と関係の深い人々であったが、その中に、丹伽子の娘で
女優の瑞穂、彼女のマネージャーの早紀、ホステスの弟の息子である隆介、
彼の妻の桜子、桜子の弟の時光、そして出入り業社の車屋の営業マン、辰吉
といった人々が含まれていた。
そして彼らの間には、様々な裏の事情が存在していた・・・
黄昏の百合の骨
講談社 (2004.3.10)
水野理瀬はイギリスに留学していたが、祖母が亡くなった後その遺言に従い、
彼女の住んでいた「魔女の館」と噂される白百合荘に移り住んで来た。
そこには生前の祖母が一緒に住んでいた、彼女の再婚相手の連れ子である
梨南子と梨耶子とがいた。
当然、理瀬とは血が繋がっていないのではあるが・・・
puzzle
祥伝社文庫 (2000.11.10)
検察官である黒田志土は、同僚の関根春を誘って九州の無人島へとやってきた。
陸からは4キロほどしか離れていなく、昔は炭鉱を掘る人が多勢いて1000人以上が
暮らしていたというが、現在は廃墟観光として面白半分にやって来る者以外は
誰もいない。
ところがここで先日、三人の遺体が発見された。
一人は餓死、一人は感電死、もう一人はアパートの屋上で墜落死である。
警察は、現在のところ事件事故両面から捜査を行なっているが、
どちらとも判断がつかずにいる・・・
ねじの回転
集英社 (2002.12.10)
時間を行き来できる装置が発明され、最初に『聖なる暗殺』が行なわれ、
人類は歴史を良い方向へと変えられたと歓喜にわきかえっていた。
そんな時、HIDSと呼ばれる奇病が広まっていった。
それからしばらく経ち、国連は、これまでの世界中の重要な事件を
再現して確定するという作業を進めることになった。
そして日本では、二・二六事件の4日間が取り上げられ、国連スタッフが
一丸となって歴史の確定に向け動き始めていた・・・
禁じられた楽園
徳間書店 (2004.4.30)
大学生の平口捷は、大学の同級生の烏山響一から、彼の和歌山の実家にある
野外美術館に招待された。
響一は世界的に有名な天才美術家であり、最近も彼の出した癒しのDVDである
『カーテン』が世界中で大ヒットしていた。
そんな有名人が、いくら同級生とは言え平凡な自分のことを知っているとは
思わなかった捷は、ひどくビックリして躊躇ったが、とうとう招待を受ける
ことにした・・・
クレオパトラの夢
双葉社 (2003.11.5)
海外の薬品会社に研究員として勤める神原恵弥は、双子の妹の和見を
東京へと連れ戻すために北の酷寒のHにまでやって来た。
だが彼には、この旅にはもっと別の目的もあった・・・
まひるの月を追いかけて
文藝春秋 (2003.9.25)
異母兄弟の渡部研吾が失踪したと言う。
静はその話を、研吾の高校時代の友人である君原優佳利から聞いた。
そして、彼を捜しに一緒に奈良へ来てくれないかと頼まれ、
一緒に出かけて行くことにした・・・
劫人童女
光文社 (2002.4.20)
伊勢崎巧博士は、薬物と遺伝子操作とを組み合わせて、特殊な能力において
ずば抜けた能力を持つ生物を作る研究を行ない、それに成功した。
その段階で生まれたのが、犬のアレキサンダーと、自分の娘である遥だった。
彼は、資金面をサポートしてくれていた米軍やZOOと呼ばれる組織と対立し、
抜け出そうとして追われていた。娘と一緒に・・・
図書室の海
新潮社 (2002.2.20)
- 春よ、こい
卒業式の日、親友である香織と和恵は、何度もうまくいかずに
少しずつ修正しながら体験を繰りかえしていた・・・
- 茶色の小壜
経理課にいる三保典子。
街中で偶然事故に出会い、そこでテキパキと動く彼女を見かけた・・・
- イサオ・オサリヴァンを捜して
主に単独行動をするLURPと呼ばれる斥候部隊。
そこに所属していたイサオ・オサリヴァンを捜し続けている・・・
- 睡蓮
睡蓮の下には、きれいな女の子が埋まっているという。
理瀬は、そんな話を聞きながら、大きくなった・・・
『麦の海に沈む果実』の水野理瀬の幼年時代。
- ある映画の記憶
母親が、潮の満ちてきつつある岩に腰かけ、胸をおさえている。
そして、息子に向かい、一人で陸へと歩いて行くように言い聞かせている。
そしてそれに従い、陸にたどり着いた息子が振り向くと、もう
母親の姿はどこにも見えなかった・・・
一色次郎の『青幻記』を元にした、半ば実話。
- ピクニックの準備
ピクニックと呼ばれる歩行祭を明日に控え、それぞれはそれぞれの考えを
胸にしながら前夜を過ごしていた・・・
『夜のピクニック』の前夜。
- 国境の南
昔、友人が近くに住んでいたために、よくやって来た喫茶店。
あの事件でオーナーは止めたはずであるが、また別の人が喫茶店を
やっていた・・・
- オデュッセイア
ココロコの上には人が住みつき、町を作り、様々な出来事を体験しながら
時は過ぎさって行った・・・
- 図書室の海
図書室の重い引戸を開けると、船に乗っているような感じに捕らわれる。
柵や柱が船の梁のように見えるのが原因の一つだろう。
そうすると、海は何だろう???
『六番目の小夜子』の関根秋の姉の夏のエピソード。
- ノスタルジア
それぞれが、懐かしいと思う事を順に話していく。
その間にふと妄想が紛れこんだりして・・・
ロミオとロミオは永遠に
早川書房 (2002.10.20)
全国から、知力と体力に自信のある強者たちが集まってくる大東京学園。
遠く北海道地区から驚異的な速さでトップで横浜にたどり着いたアカシシゲル。
そして、祖父母との貧しい生活ながら、中部北陸地区から腕力に
ものをいわせてたどり着いたカナザワアキラ。
彼らが、必死の思いで入学してきた大東京学園は、実は徹底的に管理された
自由のない閉じられた世界であった。
やがて彼らは、ここから脱走することを考える・・・
黒と茶の幻想
講談社 (2001.12.10)
幼稚園、小中高、そして大学時代の親友の4人。
利枝子、彰彦、蒔生、そして節子は、出会った時期や付き合いの程度は
様々ではあったが、社会へ出てからもそれとなく付き合いが続いている
仲間であった。
そんな彼らが、九州の南にあるY島へと一緒に出かけることとなった。
『美しい謎』の旅、、、そして過去への旅・・・
ネバーランド
集英社 (2000.7.10)
松籟館という古い学生寮を持つ田舎の伝統ある男子高校。
菱川美国は、今年は冬休みを帰省しないことにした。
それは一つには、少し気になる篠原寛司が、今年は帰省しないと聞いたから。
そして、毎年帰ることのない依田光浩と共に、3人が寮で年を越すことになった。
そこへ夜になると、ほとんど一人暮らしの瀬戸統が遊びにやって来た。
そして、彼ら4人の生活が始まる・・・
ライオンハート
新潮社 (2000.12.20)
時間、空間、世代を越えて繋がっていくエドワードとエリザベスの思い。
それは、1603年のロンドン、エリザベス1世とその弟エドワードから始まった・・・
- エアハート嬢の到着
1932年、ロンドン。
エアハート嬢の到着を待つ人々が、集まってきていた。
私は、どうしてこんな所へやって来たのか分からない。
しかし、私はここで始めて、彼女に出会うことになるのだ・・・
- 春
1871年、シェルブール。
農園で雨に降られて雨宿りをした林檎の木の下には、負傷した若い兵隊がいた。
そして彼の不思議な話を聞き、そしてそれが現実となっていく・・・
- イヴァンチッツェの思い出
1905年、パナマ。
身分を隠してこんな蒸し暑い所までやってきた私。
もちろん、妻の殺害者を捜しだすためであった。
しかし、そこで明かになった真実は・・・
- 天球のハーモニー
1603年、ロンドン。
誰にも立ち入らせたことのない何でもない庭。
そこに、一人の男が跪いていた・・・
- 記憶
1855年、オックスフォード。
妻が事件に巻き込まれ、怯えるようになってしまったため、
ロンドン郊外の一軒の古い家に引っ越してきた。
そこは実は・・・
上と外
幻冬舎 (2003.2.27)・・・幻冬舎文庫(2000.8.25)(2000.10.25)(2001.2.25)(2001.6.25)(2001.8.25)
中学生の楢崎練の両親は、離婚している。
小学生の妹、千華子は、母親の千鶴子と一緒に暮らし、練は伯父の家にいる。
父親の賢は、中南米のG国で発掘調査をしているので、年に数度しか顔を合わさない。
そんな不思議な家族の、一つの儀式とも言える習慣になっているのは、
家族四人で夏休みを過ごすことだ。
今年は千華子と千鶴子と一緒に、賢のいるG国へとやってきた。
いろいろな遺跡を見てまわり、最終日にG国で最大というティカルへと
ヘリコプターで向かったときに、事件が起こった。
クーデターが起こり、混乱しているうちに練と千華子とがヘリコプターから
投げ出され、ジャングルの真っ只中に放り出された。
そして、生死をかけた冒険が始まった・・・
ユージニア
角川書店 (2005.2.5)
夏は蒸し暑く、冬は雪はそれほどではないけれど寒い地方都市K。
そこで、かつての帝銀事件を彷彿させるような、無差別殺人事件が起きたのは、
やはり蒸し暑い夏、台風の接近している土砂降りの中であった。
地域では有名な、何代も続く医者の家族である青澤家。
そこの当主の還暦祝いと、おばあさまの米寿の祝いが重なっており、
近所の人も多勢お祝いに駆けつけていた。
そこへ、普段は来ない酒屋から酒とジュースの配達がされ、それで
乾杯をした一族と近所の人17人が青酸系の中毒で死亡した。
生き残ったのは、直後は意識不明の重体であり、数か月間入院していた
お手伝いのキミさん。そして、当家のお嬢さまの緋紗子さん。
緋紗子さんは、現場にいて犯人に気付いていた可能性が高いにも拘わらず、
盲目のため見てはいなかった。
事件は膠着状態に陥っていたが、ある日突然急展開した。
全く関係のない男性の自殺現場から、遺書と毒物が発見されたのである・・・
麦の海に沈む果実
講談社 (2000.7.25)
北の外れの湿原の中にある私設の学校。
水野理瀬は、訳も分からないうちにこの学校へとやって来ることになった。
途中の電車の中で、持っていた古い革のトランクを盗まれてしまった。
貴重品は別に持ち歩いていたため、全く問題なかったが。
そして、これは私、理瀬が、そのトランクを取り戻すまでの物語である・・・
夜のピクニック
新潮社 (2004.7.30)
午前8時に学校を出発し、途中2時間程度の仮眠をはさんで歩き続け、
翌朝8時に学校へと戻ってくる、年間最後の行事、歩行祭。
親友同士の西脇融と戸田忍、甲田貴子と遊佐美和子。
彼ら高校三年生にとっては、高校生活最後の行事でもある。
融と貴子との間には、友人には誰にも話していない特別な関係があった。
そして今日、貴子は一つの賭けをしていた。
そしてその賭けに勝ったときには・・・
月の裏側
幻冬舎 (2000.3.31)
塚崎多聞は、九州有明海沿岸の水の都市、箭納倉へとやってきた。
出迎えたのは、かつての恩師、三隅協一郎であった。
彼から、冗談とも本当とも区別の付かないような話を聞き、それが今回の
旅の目的だと分かった。ここ一年ばかりの間に、3件の失踪事件があったという。
しかもその三人ともが、数日から10日ぐらいして、いなくなった間の記憶を
なくしたまま戻ってきたと言う。
そして次の日、箭納倉の新聞社支部長である高安則久に会い、さらに詳しい
話を聞いた。さらに、協一郎の弟夫婦もまた、同じ体験をしていたと分かった。
さらにその数日後、協一郎の長女、池内藍子がやってきた。
そして、彼らの戦い(?)が始まる・・・
Q&A
幻冬社 (2004.6.10)
『これからあなたに幾つかの質問をします。
ここで話したことが外に出ることはありません。』
こうして始まる質問と回答で話が進んでいく。
2002年2月11日午後2時27分頃、都内郊外の大型商業施設『M』で
大パニックが起こり、死者60名を越す大惨事になった。
しかしその原因は、一向に分からない・・・
木曜組曲
徳間書店 (1999.11.30)
M市の中心街をちょっとだけ外れたT川の支流を背にして建っている
こぢんまりとした洋館『うぐいす館』。
ここは、かつての大小説家、重松時子の住んでいた家であり、現在は
当時から一緒に暮らしていた編集者の綾部えい子がいる。
この家に、毎年一度、親戚たちが集まってくる。
時子の異母姉妹である静子。
時子の姪であり、お互いに異母姉妹である尚美とつかさ。
そして、静子の母親の妹の娘である絵里子。
今年もまた彼女達は、うぐいす館へとやってきた・・・
ドミノ
角川書店 (2001.7.25)
関東生命はその日、営業強化月間の最終日、締めの日であった。
支社の金庫は三時に閉じられ、契約書を本社への便に乗せなければならない。
北条和美は、最終時刻ギリギリに飛びこんで来るはずの重要な契約を
待ち続けていた。この一億円の契約に、支店の運命がかかっている・・・
鮎川麻里花は、関東劇場の舞台『エミー』のオーディションに望んでいた。
本当はもう止めたいのだが、母親の喜ぶ顔を見たいために、頑張り続けている。
そのオーディションに、玲菜が受けに来た・・・
その他、様々な人々の様々な行動がそれぞれのドミノになり、現実の世界は
進んで行く・・・
蛇行する川のほとり3
中央公論新社 (2003.8.15)
駅前での事故で香澄は亡くなり、毬子は重傷を負った。
子どもの頃の香澄の母親の殺人事件は未解決のままであったが、
その真相は実は・・・
そして、暁臣の姉の事故の真相は・・・
蛇行する川のほとり2
中央公論新社 (2003.3.31)
毬子は暁臣に何かを吹きこまれたようで、様子がおかしい。
そして、夜には熱を出して寝込んでしまった。
何を話したのか追求するが、なかなか核心の部分が掴めない。
それは、彼らが子供の頃に起きた、殺人事件、及び事故に関する事で
あることは間違いない。
実は香澄の母親は誰かに殺害され、そして暁臣は事故で姉の宵子を失っていた・・・
蛇行する川のほとり1
中央公論新社 (2002.11.30)
高等部に入った夏休み、演劇祭の準備のために憧れの九瀬香澄先輩の住む
「船着場のある家」で合宿することになった蓮見毬子。
そこには、もう1人の憧れの先輩、斎藤芳野さんもやってくる。
一日遅れて、香澄のいとこの月彦と、その幼なじみの暁臣も加わり、
演劇祭で使う大きな絵の制作に取りかかった。
暁臣は、男性を感じさせないやさしさを持っており、好意を抱いていたが、
その合宿で意外な、そして重大な話を聞いてしまった・・・
六番目の小夜子
新潮社 (1998.8.20)・・・新潮文庫ファンタジーノベル(1992.7)・・・(1991)
花宮雅子、沢木容子、唐沢由起夫、関根秋は、高校3年になって
同じクラスになった。
そこへ神戸から転校してきたのが、津村沙世子であった。
そして四月の始業式の日、3年10組の教壇の上には、真っ赤な薔薇が
大きな花瓶に生けてあった。
そうそれは、この学校に伝わる小夜子伝説によって、『小夜子』が
やってきたことを意味していた・・・
光の帝国
集英社 (1997.10.30)
宮城県北部にあるという達磨山。そこには昔、常野という人々が住んでいたという。
彼らは、様々な特殊能力を身につけていたが、、、
その子供達が青森の山の中の学校で過ごしていた。
そこにはツル先生と呼ばれる先生がおり、そのうちに数人の先生や生徒が
やってきてほとんど自給自足の生活をしていた。
ところが、日本の旧軍隊が彼らの能力に目をつけ、実験材料として確保しようと
動いた。それを察知した彼らは、精一杯戦ったが、、、
そして今、彼らの生き変わりが一堂に集まろうとしていた・・・
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