逢坂剛

1943年、東京生まれ。中央大学法学部卒業。博報堂勤務。


カディスの赤い星
講談社 (1986.7.21)

大手PR会社から独立して小さなPR会社をおこし、所長を勤める漆田亮は、 1975年に死んだスペインのフランコ総統の死が一日遅れさせらされていた という新聞記事を読み、当時の出来事を思い出した。
それは自社の最大の得意先である日野楽器に呼び寄せられた、スペインの ギター製作家、ホセ・ラモス氏から頼まれた出来事が中心であった。 「カディスの赤い星」というラモス氏の師匠サントスの作った名器を 捜しだすこと、そして・・・


百舌の叫ぶ夜
集英社 (1986.2.25)

殺しの仕事を受け、筧俊三をつけまわし初めてからもう一週間。 百舌はしびれを切らしていた。 その日、筧は喫茶店に入り、女と会た。 トイレに立ったのを見かけ、続いて入って殺そうとしたところ、 別の客が来てやり損なった。 仕方なくトイレから出たところ、筧と会っていた女が慌てて店から出ようとしていた。 胡散臭いものを感じ、女をつけることにした。ところが女にまかれてしまった。 仕方なく喫茶店に戻ってくると、筧が出てくるところだった。 今度こそ逃さない。 追跡を始めたところ、ある店の前で女が浮浪者に絡まれている現場に出くわし、 筧がそこへと突進して行った。そしてその時、大爆発が起きた・・・


幻の翼
集英社 (1988.5.25)

稜徳会事件後、倉木尚武警部は公安特務一課から警視に昇進して警察庁 警務部へと移り、明星美希部長刑事は警視庁公安三課から外事二課へと 配置替えになった。 刑事部捜査一課の大杉良太警部補は、新宿大久保署の防犯課保安一係長になった。 そして約一年半後、倉木は美希に、事件内容を曝露する記事をワープロで 作成させ、それを出版社に持ち込もうとしていた・・・


砕かれた鍵
集英社 (1992.6.25)

明星美希は倉木尚武と結婚し、真浩を授かった。 だが真浩は、重い心臓病を患い、体力のつくのを待って手術を受ける予定だった。 その医療費を求めて、美希は共済組合に足繁く通っていた・・・


よみがえる百舌
集英社 (1996.11.30)

倉木美希の母子を爆死に追いやり、夫の尚武を死亡させた黒幕の一人、 球磨隆市が殺害され、さらに稜徳会事件で津城警視正のスパイを勤めた 水島東七が殺害された。 この二人とも、稜徳会事件の犯人の百舌の殺しの手口を真似て、 百舌の羽根を上着に隠し、千枚どおしでぼんのくびをつく殺害方法であった・・・


ノスリの巣
集英社 (2002.6.30)

大東総業−といっても暴力団の隠れ蓑だが−の坪井守が、廃車置場で殺害された。 そこには古いパソコン等が放置されており、どうやらそこに拳銃が 隠されていたようだ。
さらに、貿易商の白坂博紀が、暴力団桜蘭会の戸畑陽二と共に銃殺されているのが 発見された。 そこでは、スペインから輸入された生ハムが発見されており、コカインが 隠されて輸入された形跡が認められた。
そして警視になった警察庁特別監察官の倉木美希は、警視庁公安特務一課 調査八係の洲走かりほの良くない噂を調べるために、警察庁に呼び出していた・・・


禿鷹の夜
文藝春秋 (2000.5.10)

北上野署から神宮署にやってきた禿富鷹秋刑事。 彼は裏の世界で禿鷹と呼ばれていた。 ヤクザが逆にビビッテしまうほど冷徹で血が通っていない行動を取る。 神宮署管内では、暴力団の隠れ蓑会社である渋六興業が、南米ペルーの マフィア・スダメリカナと抗争を展開していた。 禿鷹はそこにつけ入り、ボディーガードをするかわりに金を要求した。 そしてその抗争に巻き込まれ、禿鷹の恋人、青葉和香子が殺害された・・・


無防備都市
文藝春秋 (2002.1.15)

... forgot to make memo ...


銀弾の森
文藝春秋 (2003.11.30)

敷島組の若頭、諸橋征四郎が、地元神宮警察署の警部補、禿富鷹秋に呼び出され、 最近進出しつつあるマスダ(マフィア・スダメリカナ)のアジトへと連れて行かれた。 その翌日、彼の死体が渋六興業の縄張り内のバー「みはる」の店内で発見された・・・


しのびよる月
集英社 (1997.11.30)


配達される女
集英社 (2000.8.30)


恩はあだで返せ
集英社 (2004.5.10)


さまよえる脳髄
新潮社 (1988.10.25)

警視庁防犯部保安二課の海藤兼作は、麻薬取締官の木村宏とともに 麻薬の取引現場に張り込んでいた。 そこで犯人を取り押さえる時、相手の攻撃にあって脳を一部傷付けてしまった。
チェリーズの投手の追分知之は、もう少しで完全試合という時に、 不運が重なってそれを逃してしまった。 そしてその直後、マウンドを交替させられた時、リリーフエースを運んできた マスコットガールの島村橙子を追いかけ、大勢の観客の前で彼女を 絞め殺そうとした・・・


あでやかな落日
毎日新聞社 (1997.7.15)

たまたま見かけたコンサートで、岡坂神策はとんでもない演奏を耳にした。 香華ハルナ。彼女は無名のギタリストであったが、空席の目立つ カザルスホールとはいえ、聴衆のほとんどが立ち上がって、 スタンディングオベーションを送っていた。 そしてそのしばらく後、懇意にしてもらっているセントラル広告の 佐竹武典からアウロラ電機の広報部員、岸岡美帆子を紹介された。 アウロラ電機では、新商品を売り出す為に、イメージキャラクターとなる 新人音楽家を探しているという。 真っ先に思い浮かんだのは、先日演奏を聞いたばかりの香華ハルナであった・・・


相棒に気をつけろ
新潮社 (2001.8.20)


幻のマドリード通信
文春ユネスコ (2003.1.29)・・・講談社文庫 (1987.4)・・・大和書房 (1983.2)


熱き血の誇り
新潮社 (1999.10.20)

八甲製薬の役員付きの秘書をしている寺町麻矢。 彼女が昼の番をしている時に、一人の男が役員室のある階へと上がってきた。 丁度、保安係の犬山民夫は手洗いに行ったところであった。 やって来た男はヨシモトカイチと名乗ったが、本能的にただならぬものを 感じた麻矢は、時間稼ぎをした・・・


燃える地の果てに
文藝春秋 (1998.8)

ホセリートこと古城邦秋は、スペイン南部アルメリア県の田舎である パロマレスへとやって来た。 ディエゴ・エル・ビエントという寡作のギター製作者に、ギターを 売ってもらうためであった。 製作に数か月はかかるため、パロマレスへ来る途中のヒッチハイクで トラックに乗せてもらったトマス・ロドリゲスに頼み、彼のトマト農場で 働きながら宿泊させてもらうことにした。 そんなある日、パロマレス上空で米空軍のB52爆撃機とKC135燃料補給 ジェット機とが衝突し、墜落した。 そしてこのB52には、核爆弾が搭載されていた・・・


牙をむく都会
中央公論新社 (2000.11.25)

神田神保町にある現代調査研究所所長の岡坂神策は、1998年の秋に二つの スペイン関係のイベントに関する仕事を請け負った。 一つは、広告会社萬通から勝ち取った、ハリウッド・クラシック映画祭のPR。 そしてもう一つは、東都ヘラルド新聞社の企画した、スペイン内戦終結60周年 記念イベントであった・・・


イベリアの雷鳴
講談社 (1999.6.14)

ポーランド兵がドイツに侵入してきたと言って、ドイツはポーランドに侵攻した。 ポーランドと相互援助条約を結んでいるイギリスは、いち早くドイツに抗議し、 宣戦布告した。 ほどなくフランスもこれにならった。 しばらくは、交戦のない戦争状態が続いていたが、ついにドイツはベルギー、 オランダそしてフランスへと攻め入った。 そしてパリを支配下に置いたドイツのヒトラーは、さらに南のスペインを仲間に 引き入れ、ジブラルタルを支配下に置こうとしていた。 そしてそのためのヒトラーとフランコとの会談が、フランスとスペインの国境の町、 アンダイで行われた。 そしてそこには、数々のフランコ暗殺者たちが集まってきていた・・・


カプグラの悪夢
講談社 (1998.5.25)


アリゾナ無宿
新潮社 (2002.4.20)

アリゾナ準州の小さな町ベンスンの郊外に、ラスクマンと共に住んでいたマニータ。 ラスクマンは、マニータに外部との接触を出来るだけ避けるようにさせていたが、 ある日ベンスンの町へ買い物に出た時、二人の男がサグワロという函館から来た らしいという日本人に難癖を付けているところに出くわした。 そこにやって来たのが、賞金稼ぎをやっているストーンであった・・・


ハポン追跡
講談社文庫 (1995.10.15)・・・講談社 (1992.9)


遠ざかる祖国
講談社 (2001.12.8)

イギリスとの戦争の行方がまだはっきりしないうちに、ドイツはソ連に宣戦布告した。 その直前には、日本がソ連と不可侵条約を結んでいた。 ドイツがソ連との戦争に苦戦している間に戦力を取りもどしつつあったイギリスは、 なんとかして日米交渉を不調に終わらせ、アメリカに参戦させようと画策していた。 そしてとうとう日本は、宣戦布告せずに真珠湾攻撃を開始した・・・


燃える蜃気楼
講談社 (2003.10.15)

真珠湾攻撃の後しばらくは、日本軍の快進撃が続いていた。 しかしそれも、ミッドウェー海戦による惨敗により、風向きが変わり、 次第に暗雲がたち込め始める。 連合国軍と枢軸国軍との戦いは、ジブラルタル海峡をめぐって特に情報戦が 非常に激しくなり、その後の戦争の行く方を決定づけるものとなっていった・・・


墓石の伝説
毎日新聞社 (2004.11.15)

最近は新作を作っていない映画監督、塚山新次郎が西部劇を作成することを 考えていると言う。 現代調査研究所所長の岡坂神策はその話を、ふと入ったフレンチレストランで、 たまたま居合わせた女性二人が話しているのを聞き込んだ。 日放テレビの鷹嶋りおなと広告会社萬通の唐沢薫子であった。 鷹嶋りおなは、塚山監督が西部劇を撮ろうとしている姿を追うドキュメンタリー 番組を作製していると言う。 そして唐沢薫子は、塚山監督のいとこという事であった。 唐沢薫子は、親が亡くなって遺品を整理していたら、大量の西部劇映画の プログラムが出てきて、その処分の仕方について、鷹嶋りおなと相談していた・・・


重蔵始末
講談社 (2001.6.29)


逆襲の地平線
新潮社 (2005.8.30)

ストーンとサグロワ、そして私のコンビは、トゥサンの郊外にある マキンリー牧場へと出かけていった。 そこで、人探しをすれば1万ドル支払われるという事を聞いたからだ。 そして様々なテストをされ、ストーンが雇われることとなった。 そこでストーンは雇い主のマキンリー・エドナに提案し、サグロワと 私、それに早撃ちで最後まで残ったジャスティ・キッドとが一緒に 雇われることとなった。 そして、捜し出す人物というのは、約10年前、コマンチに拐われた 彼女の娘、エミリであった・・・


暗い国境線
講談社 (2005.12.1)

連合国側の次の攻撃目標は、単純に考えればイタリアのシシリー島である。 ただしこれを巡っては、連合国側、枢軸国側とも峻烈な情報戦が展開されていた。 その一つが、<ミンスミート>作戦である。 ひそかに英国将校の死体を放流して海岸に漂着させる。 その英国将校は、重大な機密文書を持っている。 しかしそれは、見せかけだけの偽造書類であった・・・


禿鷹狩り
文藝春秋 (2006.7.15)

渋谷の街は、敷島組を吸収合併した渋六興業によって支配されていたが、 そこに、南米マフィアのマスダことマフィア・スダメリカナが何とか支配力を 広げようとやっきになっていた。 その最大の障壁となっていたのが、禿鷹こと神宮署生活安全特捜班の禿富鷹秋 警部補である。 彼は、裏で元暴力団と癒着し、好き勝手なことをしている不良刑事であったが。。。 そんな禿鷹の命を狙うヒットマンがあらわれた。 しかし彼はこれを返り討ちにし、さらにその雇い主から金までせしめてしまった。 そうこうしているうちに、神宮署生活安全特捜班に新たに2人の警察官が 配属されていた。岩動寿満子と嵯峨俊太郎である。 嵯峨警部補はともかくとして、岩動警部は禿鷹以上にしたたかな警察官であった。 何としても、禿鷹の弱みを握り、警察から追い出そうとしているようである・・・


相棒に手を出すな
新潮社 (2007.4.20)

「相棒」シリーズ(?)第二弾。短編集。


鎖された海峡
講談社 (2008.4.23)

イタリアのムソリーニが失脚し、連合国側との和平を探る動きが活発になってきた。 スペインではフランコが、非交線状態から中立へと変更し、 <青の師団>を引きあげる検討を始めた。 ヒトラー率いるドイツは、いよいよ追いつめられてきたが、イギリスやアメリカは ソ連の西進も警戒しなくてはならない。 微妙な駆け引きが続く中、とうとう北西ヨーロッパへの連合軍の上陸作戦が 開始された・・・ その間、舞台裏でも大きな動きがあった。 MI6マドリード支局員であるヴァジニア・クレイトンは、北都昭平との仲が 言い逃れ出来なくなり、ロンドンへと戻される。 しかしそのすぐ後、ドイツのまん中へと潜入させられた。 ドイツではアプヴェアがOKWからSDへと移管させられ、長官のヴィルヘルム・ カナリスは休職、、、事実上の軟禁状態に置かれる。 そしてヴァジニアをドイツから越境させるためにFLAPに協力を仰いだ昭平は、 その救出時に記憶喪失になった元妻のペネロペことホアナ・ベレンの死に 立ち会うことになった。そして死の直前、彼女は記憶を取り戻す・・・



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