逢坂剛
1943年、東京生まれ。中央大学法学部卒業。博報堂勤務。
カディスの赤い星
講談社 (1986.7.21)
大手PR会社から独立して小さなPR会社をおこし、所長を勤める漆田亮は、
1975年に死んだスペインのフランコ総統の死が一日遅れさせらされていた
という新聞記事を読み、当時の出来事を思い出した。
それは自社の最大の得意先である日野楽器に呼び寄せられた、スペインの
ギター製作家、ホセ・ラモス氏から頼まれた出来事が中心であった。
「カディスの赤い星」というラモス氏の師匠サントスの作った名器を
捜しだすこと、そして・・・
百舌の叫ぶ夜
集英社 (1986.2.25)
殺しの仕事を受け、筧俊三をつけまわし初めてからもう一週間。
百舌はしびれを切らしていた。
その日、筧は喫茶店に入り、女と会た。
トイレに立ったのを見かけ、続いて入って殺そうとしたところ、
別の客が来てやり損なった。
仕方なくトイレから出たところ、筧と会っていた女が慌てて店から出ようとしていた。
胡散臭いものを感じ、女をつけることにした。ところが女にまかれてしまった。
仕方なく喫茶店に戻ってくると、筧が出てくるところだった。
今度こそ逃さない。
追跡を始めたところ、ある店の前で女が浮浪者に絡まれている現場に出くわし、
筧がそこへと突進して行った。そしてその時、大爆発が起きた・・・
幻の翼
集英社 (1988.5.25)
稜徳会事件後、倉木尚武警部は公安特務一課から警視に昇進して警察庁
警務部へと移り、明星美希部長刑事は警視庁公安三課から外事二課へと
配置替えになった。
刑事部捜査一課の大杉良太警部補は、新宿大久保署の防犯課保安一係長になった。
そして約一年半後、倉木は美希に、事件内容を曝露する記事をワープロで
作成させ、それを出版社に持ち込もうとしていた・・・
砕かれた鍵
集英社 (1992.6.25)
明星美希は倉木尚武と結婚し、真浩を授かった。
だが真浩は、重い心臓病を患い、体力のつくのを待って手術を受ける予定だった。
その医療費を求めて、美希は共済組合に足繁く通っていた・・・
よみがえる百舌
集英社 (1996.11.30)
倉木美希の母子を爆死に追いやり、夫の尚武を死亡させた黒幕の一人、
球磨隆市が殺害され、さらに稜徳会事件で津城警視正のスパイを勤めた
水島東七が殺害された。
この二人とも、稜徳会事件の犯人の百舌の殺しの手口を真似て、
百舌の羽根を上着に隠し、千枚どおしでぼんのくびをつく殺害方法であった・・・
ノスリの巣
集英社 (2002.6.30)
大東総業−といっても暴力団の隠れ蓑だが−の坪井守が、廃車置場で殺害された。
そこには古いパソコン等が放置されており、どうやらそこに拳銃が
隠されていたようだ。
さらに、貿易商の白坂博紀が、暴力団桜蘭会の戸畑陽二と共に銃殺されているのが
発見された。
そこでは、スペインから輸入された生ハムが発見されており、コカインが
隠されて輸入された形跡が認められた。
そして警視になった警察庁特別監察官の倉木美希は、警視庁公安特務一課
調査八係の洲走かりほの良くない噂を調べるために、警察庁に呼び出していた・・・
禿鷹の夜
文藝春秋 (2000.5.10)
北上野署から神宮署にやってきた禿富鷹秋刑事。
彼は裏の世界で禿鷹と呼ばれていた。
ヤクザが逆にビビッテしまうほど冷徹で血が通っていない行動を取る。
神宮署管内では、暴力団の隠れ蓑会社である渋六興業が、南米ペルーの
マフィア・スダメリカナと抗争を展開していた。
禿鷹はそこにつけ入り、ボディーガードをするかわりに金を要求した。
そしてその抗争に巻き込まれ、禿鷹の恋人、青葉和香子が殺害された・・・
無防備都市
文藝春秋 (2002.1.15)
... forgot to make memo ...
銀弾の森
文藝春秋 (2003.11.30)
敷島組の若頭、諸橋征四郎が、地元神宮警察署の警部補、禿富鷹秋に呼び出され、
最近進出しつつあるマスダ(マフィア・スダメリカナ)のアジトへと連れて行かれた。
その翌日、彼の死体が渋六興業の縄張り内のバー「みはる」の店内で発見された・・・
しのびよる月
集英社 (1997.11.30)
- 裂けた罠
『小説宝石』1985年10月号
御茶ノ水署生活安全課保安二係の係長の斉木斉と、その部下の梢田威は、
小学時代の同級生である。
ある夜、交通課捜査係の星野良一が一人の酔っぱらいを署に連れてきた。
スナックの前で酔っ払って絡んで来たのだと言う。
一晩保護房に入れ、説教をして返した。
ところが、その晩に殺人事件が起こり、その酔っ払いが容疑者だと言う・・・
- 黒い矢
『小説すばる』1984年11月号
ある夜更け、草野弥生がマンションに急いでいる時、暴走族が彼女の
真横を通り抜けて行った。
その時、黒いボーガンの矢を放っていき、それに当たって全治一週間の
怪我をしたと言う・・・
- 公衆電話の女
『小説すばる』1985年8月号
斉木と梢田は、裏道の暗い電話ボックスで、売春をしている女がいる
という話を聞きつけた・・・
- 危ない消火器
『小説すばる』1986年5月号
管内の予備校に、消火器の交換を無理やりにやっていったという苦情が
警察署に寄せられた・・・
- しのびよる月
『小説すばる』1997年1月号
服部加寿子という女性が、変な男性ににつきまとわれていると言って
梢田に救いを求めてきた・・・
- 黄色い拳銃
『小説すばる』1997年9月号
斉木と梢田が、かっちりとお金を払う数少ない中華料理店の一つで
飲んでいると、そこにまっ黄色な拳銃を持った強盗が飛び込んできた。
初め、モデルガンだと思った梢田が警察だと名乗ると、犯人の一人が
突然拳銃をぶっぱなした・・・
配達される女
集英社 (2000.8.30)
- 悩み多き人生
『小説すばる』1998年1月号
小学生の時の同級生コンビ、斉木斉と梢田威が所属する御茶ノ水署
生活安全課保安二係に、新任の女性刑事が本庁からやってきた。
五本松小百合、年下でしかも地位は梢田よりも上である。
その頃、斉木は古本屋のアルバイト、松本ユリに惚れてしまっていた・・・
- 縄張り荒らし
『小説すばる』1998年7月号
梢田が戸外での仕事が長くなり署に急いでいる時、シンシアと名乗る
外国人女性から、携帯電話に出てくれと頼まれた。
しかたなく出てみると、亀山という男が、出来れば近くのアパートまで
彼女を連れて来て欲しいと言う・・・
- 配達される女
『小説すばる』1998年11月号
携帯電話を購入した斉木と梢田。
何かに付けて斉木が梢田に電話してくる。
ある日電話をしながら歩いていると、バイクにぶつかりそうになった。
そしてそのバイクが運んでいたものに不審を持った二人は、彼を署に
連れて行って説教することにした・・・
- 苦いお別れ
『小説すばる』1999年7月号
五本松がお見合いをすることになった。
相手は、梢田が警察学校の研修で一緒だったことのある島倉満彦警部。
五本松の元上司である牛袋サトが進めているものだ。
ところが五本松は嫌がっており、島倉から梢田のところに出来るだけ
悪いイメージを植えつけてくれるようにと依頼があった。
なんでも、彼には別に好きな人がいると言う。
しかもその後、その相手、牟田口ミサエからは逆に、お見合いを
進めてくれと頼まれてしまった。
そしてその背景には、強拍事件があるという・・・
- 秘めたる情事
『小説すばる』2000年1月号
満員の通勤列車で通勤中、梢田は痴漢に出会った。
最初、自分がそれに巻き込まれたかと一瞬ヒヤッとしたが、
別の男が腕を握られていた・・・
- 犬の好きな女
『小説すばる』2000年5月号
署長の知り合いの医師の妻から、いなくなった犬を探してくれという
依頼が来た。
その探索に、梢田と五本松とがあたることになった・・・
恩はあだで返せ
集英社 (2004.5.10)
- 木魚のつぶやき
『小説すばる』2003年3月号
御茶ノ水署生活安全課保安二係に匿名で苦情電話が入ってきたため、
斉木斉と梢田威は素性の怪しい男の出る神保町の交差点付近へ
出かけて行った。
そして不審な男を見つけたが、逃げられてしまった・・・
- 欠けた古茶碗
『小説すばる』2003年6月号
署内の錦華公園で初めてがらくた市が開かれた。
そこでいち早く欠けた古茶碗を値打ち物だとさとった(?)斉木は、
1万円でそれを購入した・・・
- 気のイイ女
『小説すばる』2003年9月号
ドミサイル小川町というマンションの自主管理組合理事長、
そして地元駿河台小学校のPTA会長を勤める円城寺珠子と言う女性が、
いかがわしいビラが投げ込まれているので取り締まってくれと言ってきた・・・
- 恩はあだで返せ
『小説すばる』2003年12月号
ある朝、上司の斉木が暗い顔をして挨拶も寄越さないと言う。
訳を聞いてみると、昔の同僚から協力を頼まれたと言う・・・
- 五本松の当惑
『小説すばる』2004年3月号
金剛書店の金剛リキと名乗る老婦人が、五本松さんに頼まれたからと言って、
古本を持ってきた。
手付けの一万円しかもらっていないから、残りの8万5千円を払えと言う・・・
さまよえる脳髄
新潮社 (1988.10.25)
警視庁防犯部保安二課の海藤兼作は、麻薬取締官の木村宏とともに
麻薬の取引現場に張り込んでいた。
そこで犯人を取り押さえる時、相手の攻撃にあって脳を一部傷付けてしまった。
チェリーズの投手の追分知之は、もう少しで完全試合という時に、
不運が重なってそれを逃してしまった。
そしてその直後、マウンドを交替させられた時、リリーフエースを運んできた
マスコットガールの島村橙子を追いかけ、大勢の観客の前で彼女を
絞め殺そうとした・・・
あでやかな落日
毎日新聞社 (1997.7.15)
たまたま見かけたコンサートで、岡坂神策はとんでもない演奏を耳にした。
香華ハルナ。彼女は無名のギタリストであったが、空席の目立つ
カザルスホールとはいえ、聴衆のほとんどが立ち上がって、
スタンディングオベーションを送っていた。
そしてそのしばらく後、懇意にしてもらっているセントラル広告の
佐竹武典からアウロラ電機の広報部員、岸岡美帆子を紹介された。
アウロラ電機では、新商品を売り出す為に、イメージキャラクターとなる
新人音楽家を探しているという。
真っ先に思い浮かんだのは、先日演奏を聞いたばかりの香華ハルナであった・・・
相棒に気をつけろ
新潮社 (2001.8.20)
- いそがしい世間師
『小説新潮』1998年10月号
街頭商法に騙されたふりをして、相手の男から金をふんだくったおれは、
途中で騙されていると忠告してきた女に、全てを見られてしまった・・・
- 痩せる女
『小説新潮』1999年1月号
ちょっと事情のある古本屋の知り合い久保山幸平に、彼の店に銀行が
融資をしてくれるように仕向けてくれと頼まれた・・・
- 弦の嘆き
『小説新潮』1999年11月号
ドデカゴンホールで、宮入銀三の1898年作のギターが公開された。
それを取りもどしてくれるように、銀三の子孫から頼まれたと言って、
四面堂遥ことジリアンが協力を求めてきた・・・
- 八里の寝床
『小説新潮』2000年11月号
駅前の再開発を担当している不動産会社の課長から、一軒だけ残っている店
<平八>に立ち退くように仕向ける仕事を依頼された・・・
- 弔いはおれがする
『小説新潮』2001年5月号
ちょっとした知り合いになった暴力団箕島組の組長、箕島信之介の葬儀に、
香典の記録を頼まれた。
そこへ突然遥があらわれ、なんと彼女はその香典をかすめ取ってしまった・・・
幻のマドリード通信
文春ユネスコ (2003.1.29)・・・講談社文庫 (1987.4)・・・大和書房 (1983.2)
- 幻のマドリード通信
1939年4月2日、2年8ヵ月にわたるスペイン内戦が、フランコ将軍率いる
国民軍の勝利で終結した。
そしてその翌日、外務省書記生の宮川二朗は、駐スペイン特命全権公使の
真野信、帝国陸軍中佐の守谷清一、通訳官の高井稔らとともに、
日本帝国公使館の被害状況の検分に行った。
そしてその地下の作業室で、一人の男性の死体を発見した・・・
- カディスからの脱出
マドリードにいる恋人の手術を条件に仕事を請け負った私は、
カディスへとやってきた。
そこでルビアと言う踊り子と知り合い、紹介された治安警備隊の
マトンから受けた仕事は、フラメンコの歌い手のレバンテという老人に
取り入るということであった・・・
- カディスへの密使
弟が左翼の過激派組織FLIと接触を持ち、連絡員のアルバイトをしていたという。
そんな事を突然聞かされた迎田央は、さらにその後、その弟の代わりに
連絡員の仕事をしてくれと頼んできた。
そして今、カディス行きの急行に乗り込むため、アトーチャ駅に
やってきていた・・・
- ジブラルタルの罠
高等防諜局CESIDに所属する私は、自分をつけてくる女に気付いた。
カフェに入って捕まえ話を聞くと、日本の大使館で働いており、
一等書記官がKGBからスパイを強要されていると言う・・・
- ドゥルティを殺した男
マドリードで私は、ドゥルティのデスマスクを売っている男を見かけた。
興味を持った私は、その老人に近づいたが、ていよく追い払われた。
それでも納得できずその老人を追いかけ、話をすることを承諾させた・・・
熱き血の誇り
新潮社 (1999.10.20)
八甲製薬の役員付きの秘書をしている寺町麻矢。
彼女が昼の番をしている時に、一人の男が役員室のある階へと上がってきた。
丁度、保安係の犬山民夫は手洗いに行ったところであった。
やって来た男はヨシモトカイチと名乗ったが、本能的にただならぬものを
感じた麻矢は、時間稼ぎをした・・・
燃える地の果てに
文藝春秋 (1998.8)
ホセリートこと古城邦秋は、スペイン南部アルメリア県の田舎である
パロマレスへとやって来た。
ディエゴ・エル・ビエントという寡作のギター製作者に、ギターを
売ってもらうためであった。
製作に数か月はかかるため、パロマレスへ来る途中のヒッチハイクで
トラックに乗せてもらったトマス・ロドリゲスに頼み、彼のトマト農場で
働きながら宿泊させてもらうことにした。
そんなある日、パロマレス上空で米空軍のB52爆撃機とKC135燃料補給
ジェット機とが衝突し、墜落した。
そしてこのB52には、核爆弾が搭載されていた・・・
牙をむく都会
中央公論新社 (2000.11.25)
神田神保町にある現代調査研究所所長の岡坂神策は、1998年の秋に二つの
スペイン関係のイベントに関する仕事を請け負った。
一つは、広告会社萬通から勝ち取った、ハリウッド・クラシック映画祭のPR。
そしてもう一つは、東都ヘラルド新聞社の企画した、スペイン内戦終結60周年
記念イベントであった・・・
イベリアの雷鳴
講談社 (1999.6.14)
ポーランド兵がドイツに侵入してきたと言って、ドイツはポーランドに侵攻した。
ポーランドと相互援助条約を結んでいるイギリスは、いち早くドイツに抗議し、
宣戦布告した。
ほどなくフランスもこれにならった。
しばらくは、交戦のない戦争状態が続いていたが、ついにドイツはベルギー、
オランダそしてフランスへと攻め入った。
そしてパリを支配下に置いたドイツのヒトラーは、さらに南のスペインを仲間に
引き入れ、ジブラルタルを支配下に置こうとしていた。
そしてそのためのヒトラーとフランコとの会談が、フランスとスペインの国境の町、
アンダイで行われた。
そしてそこには、数々のフランコ暗殺者たちが集まってきていた・・・
カプグラの悪夢
講談社 (1998.5.25)
- カプグラの悪夢
「小説現代」1993年9月号
ある日、現代調査研究所の所長、岡坂神策のもとに、明央大学
精神医学教室の教授、下村瑛子から電話があり、人を探して欲しいという。
いわくありげだが、簡単に断わることも出来ずに仕事を受けた・・・
- 暗い森の死
「小説現代」1994年1月号
弁護士の桂本忠昭とともに、醍醐宗一郎をはじめとする人々が
発起人となっているエスニック友好協会の発足パーティーに出席した。
そこで、副会長でロシア人のドムスキーと、会員でドイツ人のクルーゲとが
カティン事件について言い争いを始めた・・・
- 転落のロンド
「小説現代」1995年7月号
中学時代の同期性の阿曽登美子が、夫が間違って逮捕されてしまって
いるので助けて欲しいと言ってきた。
そこで仕方なく、私は向かいの桂本弁護士を紹介した・・・
- 宝を探す女
「小説現代」1997年12月号
近所の中華料理屋、楽珍亭のおかみが、誰かに襲われそうに
なっているのを見かけた。
その犯人を追い払ったところ、自分のアパートに泊めてくれと言う・・・
- 過ぎし日の恋
「小説現代」1998年4月号
大女優の長谷川綾乃が、向かいの弁護士の桂本忠明を通じて、
秘密の仲の坂田誠氏の福岡出張中の行動を監視して報告して欲しい
という依頼をしてきた・・・
アリゾナ無宿
新潮社 (2002.4.20)
アリゾナ準州の小さな町ベンスンの郊外に、ラスクマンと共に住んでいたマニータ。
ラスクマンは、マニータに外部との接触を出来るだけ避けるようにさせていたが、
ある日ベンスンの町へ買い物に出た時、二人の男がサグワロという函館から来た
らしいという日本人に難癖を付けているところに出くわした。
そこにやって来たのが、賞金稼ぎをやっているストーンであった・・・
ハポン追跡
講談社文庫 (1995.10.15)・・・講談社 (1992.9)
- 緑の家の女
猿楽町のカサ・ベルデという賃貸マンションには、所帯持ちであり、
その本人と家族が居住することという入居条件がついていた。
その206号室の住人が、実は家族ではなく愛人であり、なおかつそこで
怪しげな商売をしているという噂が流れているという。
その証拠をつかんで欲しいと、向かいの弁護士の桂本忠昭から頼まれた・・・
- 消えた頭文字
大柄の美女、田倉いずみから、別居状態の夫から娘の伊久代の居場所を
探し出して欲しいという依頼を受けた・・・
- 首
中堅の広告会社、広洋社に勤める腕利きの営業ウーマン、柏原美千子が、
担当の精神科の医師が産業スパイのようなので、自分の愛人になって
証拠をつかんで欲しいと依頼して来た・・・
- ハポン追跡
ミゲル・ロドリゲス・コロンというスペイン系の貿易商社コメルサの
日本駐在員が、スペインのコリア・デル・リオという町にたくさん
住んでいるハポンという一族が、日本の支倉使節団の末裔ではないか
調べて欲しいと依頼して来た・・・
- 血の報酬
正に寝ようとしてパジャマに着替えたばかりの時に、向かいの弁護士、
桂本忠昭から、迎えに来て欲しいと言われた。
仕方なく行って彼の秘密の隠れ家へと送り届ける途中、一人の女性が
道端に車を止めて途方に暮れた様子でいるのに気がついた・・・
遠ざかる祖国
講談社 (2001.12.8)
イギリスとの戦争の行方がまだはっきりしないうちに、ドイツはソ連に宣戦布告した。
その直前には、日本がソ連と不可侵条約を結んでいた。
ドイツがソ連との戦争に苦戦している間に戦力を取りもどしつつあったイギリスは、
なんとかして日米交渉を不調に終わらせ、アメリカに参戦させようと画策していた。
そしてとうとう日本は、宣戦布告せずに真珠湾攻撃を開始した・・・
燃える蜃気楼
講談社 (2003.10.15)
真珠湾攻撃の後しばらくは、日本軍の快進撃が続いていた。
しかしそれも、ミッドウェー海戦による惨敗により、風向きが変わり、
次第に暗雲がたち込め始める。
連合国軍と枢軸国軍との戦いは、ジブラルタル海峡をめぐって特に情報戦が
非常に激しくなり、その後の戦争の行く方を決定づけるものとなっていった・・・
墓石の伝説
毎日新聞社 (2004.11.15)
最近は新作を作っていない映画監督、塚山新次郎が西部劇を作成することを
考えていると言う。
現代調査研究所所長の岡坂神策はその話を、ふと入ったフレンチレストランで、
たまたま居合わせた女性二人が話しているのを聞き込んだ。
日放テレビの鷹嶋りおなと広告会社萬通の唐沢薫子であった。
鷹嶋りおなは、塚山監督が西部劇を撮ろうとしている姿を追うドキュメンタリー
番組を作製していると言う。
そして唐沢薫子は、塚山監督のいとこという事であった。
唐沢薫子は、親が亡くなって遺品を整理していたら、大量の西部劇映画の
プログラムが出てきて、その処分の仕方について、鷹嶋りおなと相談していた・・・
重蔵始末
講談社 (2001.6.29)
- 赤い鞭
小説現代2000年8月号
寛政二年(1790年)十月に火付盗賊改方に任じられた御先鉄砲組の組頭
松平左金吾定寅は、同じ鉄砲組の杉浦長門守忠興支配下の与力の
近藤重蔵を臨時出役という形で借り出していた。
その下で働く橋場余一郎は、重蔵と共に<はりま>で飲んで、
重蔵の手下の根岸団平の来るのを待っていた。
彼は今、力士の鬼ヶ嶽をとりまく<水窪の黒猿>という小男を
尾行していた・・・
- 北方の鬼
小説現代2000年10月号
ここのところ立てつづけに二件、男が顔を無惨に殴り殺される
という事件が起こっていた。
そしてまた、新たな被害者が見つかった・・・
- 七化け八右衛門
小説現代2001年1月号
切支丹坂と呼ばれる急な坂道で、根岸団平は女が男にかたき討ちを
しようとしている所に出くわした。
その上、女は団平に助太刀を頼んできた・・・
- 茄子と瓜
小説現代2001年3月号
重蔵の誕生日、彼は久々に明け番にしてもらい、父の右膳とともに
団平を供につれて早稲田村の南にある宗仙寺へとやってきた。
そこではこの日、林子平の『三国通覧図説』を輪講輪読の会が
催されていたのだ。
その会の間、団平は近くの料理茶屋<なかざと>で腹ごしらえをしていた・・・
- 猫首
小説現代2001年5月号
ここのところ、追いはぎや盗っ人、押し込みが増えていた。
中でも世間を騒がせていたのは<葵小僧>と呼ばれる大胆不敵で
凶悪な怪盗の一味であった。
そんな中、奇妙な盗難事件が三件ほどあった。
いずれも奪われた金品はさほどでもないが、賊は家の者が熟睡している
間に忍び込み、気づかれぬうちに金品を運び出してしまっていた。
しかもいずれの家も、厠の便壺の中から、首の骨を折られ、皮をはがされた
その家の飼い猫の死体が発見されていた・・・
逆襲の地平線
新潮社 (2005.8.30)
ストーンとサグロワ、そして私のコンビは、トゥサンの郊外にある
マキンリー牧場へと出かけていった。
そこで、人探しをすれば1万ドル支払われるという事を聞いたからだ。
そして様々なテストをされ、ストーンが雇われることとなった。
そこでストーンは雇い主のマキンリー・エドナに提案し、サグロワと
私、それに早撃ちで最後まで残ったジャスティ・キッドとが一緒に
雇われることとなった。
そして、捜し出す人物というのは、約10年前、コマンチに拐われた
彼女の娘、エミリであった・・・
暗い国境線
講談社 (2005.12.1)
連合国側の次の攻撃目標は、単純に考えればイタリアのシシリー島である。
ただしこれを巡っては、連合国側、枢軸国側とも峻烈な情報戦が展開されていた。
その一つが、<ミンスミート>作戦である。
ひそかに英国将校の死体を放流して海岸に漂着させる。
その英国将校は、重大な機密文書を持っている。
しかしそれは、見せかけだけの偽造書類であった・・・
禿鷹狩り
文藝春秋 (2006.7.15)
渋谷の街は、敷島組を吸収合併した渋六興業によって支配されていたが、
そこに、南米マフィアのマスダことマフィア・スダメリカナが何とか支配力を
広げようとやっきになっていた。
その最大の障壁となっていたのが、禿鷹こと神宮署生活安全特捜班の禿富鷹秋
警部補である。
彼は、裏で元暴力団と癒着し、好き勝手なことをしている不良刑事であったが。。。
そんな禿鷹の命を狙うヒットマンがあらわれた。
しかし彼はこれを返り討ちにし、さらにその雇い主から金までせしめてしまった。
そうこうしているうちに、神宮署生活安全特捜班に新たに2人の警察官が
配属されていた。岩動寿満子と嵯峨俊太郎である。
嵯峨警部補はともかくとして、岩動警部は禿鷹以上にしたたかな警察官であった。
何としても、禿鷹の弱みを握り、警察から追い出そうとしているようである・・・
相棒に手を出すな
新潮社 (2007.4.20)
「相棒」シリーズ(?)第二弾。短編集。
- 心変わり
不動産会社社長の福島から、最近、よそよそしくなった不倫相手を
調べてくれと頼まれた・・・
- 昔なじみ
中堅暴力団の若頭であった鱶野から、三万ドルの偽ドルをロンダリング
してこいと言いつけられてしまった。
そんな時、国田征太郎という嫌な昔の先輩に出会ってしまった。
しかも今、刑事をやっているという・・・
- ツルの一声
<大無人>という骨董商をしている二本柳ツルと知り合い、その店に
たまに通うようになった。
ある日行って話をしていると、ある男が店には行ってきて一通り見た後、
木彫りの弘法大師像はないか?見つけてくれれば、それなりの値段で
買い取るつもりだと言いおいて、手付金を残して行った・・・
- 老舗のねうち
日本老舗名店連合会にどうしても入りたいと、不動産会社社長の
大河原権六がジリアンこと四面堂遥を頼ってきた・・・
- ツルの恩返し
大無人へ行くと、山本一郎という無職の男性がツルさんと話していた・・・
- 別れ話
外資系証券会社の常務取締役の岸和田大二郎が、役員秘書の柳田小夜子と
不倫しているという。
しかしその岸和田が、最近小夜子を避けるようになったという・・・
鎖された海峡
講談社 (2008.4.23)
イタリアのムソリーニが失脚し、連合国側との和平を探る動きが活発になってきた。
スペインではフランコが、非交線状態から中立へと変更し、
<青の師団>を引きあげる検討を始めた。
ヒトラー率いるドイツは、いよいよ追いつめられてきたが、イギリスやアメリカは
ソ連の西進も警戒しなくてはならない。
微妙な駆け引きが続く中、とうとう北西ヨーロッパへの連合軍の上陸作戦が
開始された・・・
その間、舞台裏でも大きな動きがあった。
MI6マドリード支局員であるヴァジニア・クレイトンは、北都昭平との仲が
言い逃れ出来なくなり、ロンドンへと戻される。
しかしそのすぐ後、ドイツのまん中へと潜入させられた。
ドイツではアプヴェアがOKWからSDへと移管させられ、長官のヴィルヘルム・
カナリスは休職、、、事実上の軟禁状態に置かれる。
そしてヴァジニアをドイツから越境させるためにFLAPに協力を仰いだ昭平は、
その救出時に記憶喪失になった元妻のペネロペことホアナ・ベレンの死に
立ち会うことになった。そして死の直前、彼女は記憶を取り戻す・・・
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