佐藤多佳子
1962年、東京都生まれ。青山学院大学史学科卒業。
佐藤多佳子の連絡板
黄色い目の魚
新潮社 (2002.10.30)
知らず知らずのうちに絵を描いてしまうサッカー少年の木島悟と、
家族となかなかうまくやっていけずに叔父のアトリエに入り浸っていた、
絵の好きな少女の村田みのり。
二人の高校2年の出会いの頃を中心とした話。
- りんごの顔
離婚して悪口だけを聞いていた実の父親テッセイに、突然会うことになった悟。
妹の玲美は恐がって行かないと言う。
初めのうちは、どういう顔や態度をして良いのか分からずに戸惑っていたが、
どういうわけだか、テッセイの家に行ってりんごの絵を描くことに・・・
- 黄色い目の魚
小学一年の時、動物という課題が出されてみのりが描いたのは、
三角の黄色い目をした太ったいやあな魚。
それをモチーフにして、マンガ家兼イラストレーターの叔父の通ちゃんが
『サンカク』という魚のキャラクターを作り、へんてこりんなマンガにした。
名前はサザナミヤッコと言い、ヤな奴なんだけど、人気が出た・・・
- からっぽのバスタブ
通ちゃんが、『サンカク』の連載を急にやめてから描き始めたのが
『Mのこと』。
この『M』というのは、からっぽのバスタブに何時間も入り込んでいた
小さい頃のみのりをモデルにしている。
これまで誰にも話さなかったのだが、ある日ひょんなことから友人の須貝さんに
話してしまった・・・
- サブ・キーパー
サッカー部では、ゴールキーパーの木島。
正のキーパーではなくてサブのキーパーなのだが。
正のキーパーの本間さんは、天才的なキーパーで、絶対にかなわないと
あきらめている自分に気付く。それで良いような、ダメなような・・・
そんなある日、美術の授業中、人物画の課題で、村田を描く事になった。
集中して描き始めたものの、何だか違う・・・
- 彼のモチーフ
先日の美術の授業がきっかけになって気付いた。
みのりは絵を描いている人を見るのが好きなのだ。
そして、木島くんに描いてもらう事になり、彼の家へと行った。
そこで話をしているうちに、通ちゃんの最近描いていて気になっていた女性誌
『あぷりこっと』の表紙のイラストは、おそらく『ハーフ・タイム』という
カフェの似鳥ちゃんだという事が分かってきた・・・
- ファザー・コンプレックス
突然、妹の玲美が家出した。
相手はネットで知り合った、バツイチ、コブつきの根岸という40男。
ところが出て行った後で、家族の誰もがその根岸という男の住所も電話番号も
名前も知らないという事に気付いた・・・
- オセロ・ゲーム
通ちゃんは、滅多に他人をアトリエに入れない。
ところがある日、似鳥ちゃんがいた。
それを見たみのりは、気付かれないようにそっとアトリエを後にした・・・
人生、最後の最後でオセロ・ゲームのように、白黒反転させられてしまう事が
あるのだろうか・・・
- 七里ヶ浜
せっかく、みのりとうまくいこうとしていたのに、自分の一言でふいに
してしまった木島悟。
でもやはり、村田には嘘はつけない。そしてやはり、村田をあきらめられない。
あの後、村田の絵を描いている。マジできついのだけど・・・
一瞬の風になれ1
講談社 (2006.8.25)
兄貴のように才能はない事は分かっている...
小さな頃からずっとやってきたサッカーを、高校ではやらない事にした神谷新二。
体育の時間にやった50mのタイム走で、一ノ瀬連の走りを見た新二は、
彼を強引に誘って陸上部に入ることにした・・・
陸上青春小説第一巻、「イチニツイテ」
- 序章
- 第一章 トラック&フィールド
- 第二章 サマー・トラブル
- 第三章 恋がしたい
一瞬の風になれ2
講談社 (2006.9.21)
冬のオフ・シーズン(短距離)が過ぎ、三年の先輩は引退。
そしてぼく神谷新二は、陸上部のキャプテンに選ばれた。
スポーツに怪我は付き物。しかし・・・
陸上青春小説第二巻、「ヨウイ」
- 序章
- 第一章 オフ・シーズン
- 第二章 先輩、後輩
- 第三章 届かない星
- 第四章 幻の10秒台
- 第五章 アスリートの命
一瞬の風になれ3
講談社 (2006.10.24)
とうとう三年に進級。そして高校最後の陸上の季節が始まった・・・
陸上青春小説第三巻、「ドン」
- 第一章 エネルギー・ゼロまで
- 第二章 問題児
- 第三章 それぞれの挑戦
- 第四章 アンダーハンド・パス
- 第五章 光る走路
- 終章
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