真保裕一

1961年、東京生まれ。千葉県立国府台高校卒業。


連鎖
講談社 (1991.9)・・・講談社文庫 (1994.7.15)

検疫所に勤める私、羽川は、ある日の午前二時に電話で起こされ、 高校時代からの友人竹脇史隆が、酔ったまま桟橋から車ごと海へ飛びこみ、 病院へかつぎ込まれたと、彼の妻の枝里子から連絡を受けた。 竹脇は六年前、私の恋人だった枝里子を奪って結婚し、最近は 『中央ジャーナル』の記者として輸入食品検査の実態から大スクープを ものにし、大きな注目を浴びている一人であった。 そんな彼から何かを奪い取ってやろうと考え、私は枝里子を選んだ。 そして、それを知った彼は七日前、家を出て行ったと言う。 だが、彼は本当にそんな事で自殺するような奴だっただろうか? 知らせを受けた次の日、勤めている東京検疫所の郵便ポストに 封筒が投げ込まれており、その調査を私がするようにと、上司の高木義久から 言い渡された。 そして次の日には、厚生省と東京検疫所に別の情報垂れこみのファックスが 送られてきた。 これらの調査を進めるうちに、実は竹脇の次のスクープの取材を後追いしている らしいという事が分かってきた・・・


ホワイトアウト
講談社 (1995.9.20)

日本最大量の貯水量を誇る奥遠和ダム。 その開閉所に勤める富樫輝男は、同僚の吉岡和志とともに、天候が悪化する 雪山を軽装で移動している初心者登山者を救助するために山に入った。 だが、救助した帰り道、吉岡和志は暴れる救助者に引きずられて滑落し、 左足を骨折してしまった。 このままでは全員遭難してしまうと判断し、富樫は一人、救助隊を求めて 山を降りた。 ところがその途中、ホワイトアウトに出会い、ビバークすることになってしまった。 翌朝、さっそく救助隊が向かったが、遭難者は救助されたものの、吉岡は 遺体として収容された。 年が明けて三カ月後、吉岡の婚約者だった女性が開閉所を見学に来ることになった。 その時、吉岡の最後の様子を話しておこうと思い、富樫は案内役を買って出た。 ところがその日、武装した『赤い月』と名乗る一団が、開閉所やダムを 占拠してしまった。 不審者を見かけたと言う話を聞いて、もう一人の同僚と二人で外に飛びだしていた 富樫は、その一団の占拠には遭遇しなかったが、その同僚は銃で撃たれて死亡し、 富樫自身も、戻ったところを占拠していた連中の一人に殺害されかけた。 富樫は、何とか外部への連絡を取ろうと動きだすが、彼の前にはいくつもの 難題が降り掛かってくることになった・・・


奪取
講談社 (1996.8.20)

友人の西嶋雅人は、偽造テレカを作るために購入した公衆電話代を ヤクザの経営するサラ金から借り、その支払いが積もりに積もって 1260万円になっていた。 保証人として勝手に名前を書かれていた手塚道郎は、彼と協力して 偽札を作ることに決めた。ただし、相手は銀行の両替機である。 そのために、銀行のATMを襲撃して紙幣識別機を手に入れ、研究した。 偽札造りは成功し、金は手に入ったが、そのテクニックを狙われ、 ヤクザに追われることとなった。 ところで、銀行での換金時、突然、謎の老人があらわれた。 実は彼は・・・


ダイスをころがせ!
毎日新聞社 (2002.1.20)

大きな商社に勤めていたが、仕事上の失敗から子会社へ送られ、 焦って身動きできないまま会社を止めた駒井健一郎。 仕事探しをしている最中に、かつての同級生、そして恋のライバルであった 天知達彦に出会った。 彼もまた失業中であったが、次の衆議院議員選挙に無所属で立候補する つもりだと言う。 そして、その手伝いをしてくれないかと頼まれた。 妻と幼い娘を持つ健一郎としては、彼は気が狂っているとしか思えなかった・・・



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