高村薫

1953年、大阪生まれ。国際基督教大学卒業。


晴子情歌(上)
新潮社 (2002.5.30)

母・晴子は40年前、母の死をきっかけに父の実家のある青森の筒木坂へと移り住み、 一年足らずでさらに北方の北海道の土場へと移った。 しかしそこでも父の急死を受け、弟妹と別れ、再び筒木坂へと戻る。 そしてすぐ、衆議院議員福澤勝一郎の実家である福澤家へと嫁いで行った・・・ 息子・彰之は、12歳で家を出、学校を出た後船に乗り、8年間インド洋まで出かけていく 生活を始めた。 そして今度は、北洋カムチャッカでのスケトウ漁に出かけた。 その前に結婚前に母のいた土場を訪れ、出発直前には筒木坂に寄って、 母の足跡を辿っていた。 それは、インド洋上で母からもらった、長い長い昔話の手紙が契機になったのかもしれない・・・


李歐
講談社文庫 (1999.2.15)・・・『わが手に拳銃を』(1992.3) わが手に拳銃をを下敷にした書き下ろし

阪大四年になった吉田一彰は、ほんの少し大学に出ただけで午後からはまず 倉庫会社で荷物の運搬のバイトを行ない、その後会員制ナイトクラブ 「ナイトゲート」でボーイをしていた。 そのナイトゲートで、ある人物がやって来たときに、電話口まで案内して ほしいと頼まれた。 殺人の片棒を担がされているのだという認識はあったが、それほど恐怖は 感じなかった・・・ 「洪湖水口牙、浪口牙ノム浪打浪口阿、洪湖岸辺是口牙ノム是家糸口阿」 (ホォンフーーースィヤーアァ、ランヤァミ、ランタァ、ラァンアァ) 「飄飄亮亮」(ピァオピァオリァンリァンア)


マークスの山(下)
マークスの山(上)
講談社文庫 (2003.1.24)・・・早川書房 (1993.3)

昭和51年秋に蒔かれた犯罪の種子は、平成4年になって発芽、成長、開花して ついには結実した。
精神に異常をかかえる青年マークスは、東京で連続殺人事件を起こした。 その大元は、16年前に南アルプスで発生した一つの事件であった。 警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事がこの犯人を追いつめ、最後には 最初の事件のあった南アルプスで・・・



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