海野碧

1950年、長野県生まれ。


水上のパッサカリア
光文社 (2007.3.25)

第十回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 Q県北西部の穂刈高原近く、翡翠湖畔にある小さな一軒屋に住む大道寺勉は、 半年前に妻同然であった同居人、菜津を自動車事故で亡くしていた。 人との交わりを出来るだけ避ける生活を続けていた彼に取っては、 3年あまりも一緒にいた菜津は、いわゆる相性があっていたらしい。 その彼女が亡くなってから、一緒に飼っていた犬のケイトとともに 一人暮らしを続けていたが、突然そこに現れたのは、昔の仲間であった・・・


迷宮のファンダンゴ
光文社 (2007.10.25)

調布で自動車整備工場『サンモータース』を始めた大道寺勉。 ある休日、自宅でゴロゴロしていた時にテレビニュースで見かけたのは、 かつてアメリカの田舎のキャンプに置き去りにされた時、 自分に構ってくれたマリアンであった。 たった一年しか一緒にいたことはなかったが、彼女がいなければ あのキャンプで生き延びれたとは思えない。 世界中で大ヒットした映画『ワイルドイノセンス』で一躍トップに踊り出た 美人女優のマーシャ・ゲイルが、婚約者の大富豪の息子を引き連れて来日して いたが、その時護衛をしていたのがマリアンであった。 しかしマスコミの執拗な追跡を受けつつ車で移動中、事故を起こして 両人及び運転手は死亡、一緒に乗っていた映画プロデューサーは重体、 そしてマリアンは怪我を負ったものの、奇跡的に骨折だけで済んだようである。 これが各種マスコミによって報道されていたのだ。 迷った挙げ句、大道寺勉はマリアンを見舞いに行くことにした。 そこで離れていた20年以上の間の事を話し、そのままさっと帰って 二度と彼女には会わないつもりであった。 しかし、帰り際に、彼女から DVD を渡されるはめになった・・・



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