夢枕獏
1951年、神奈川県小田原市生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。
鳥葬の山
文藝春秋 (1991.1.20)
- 柔らかい家
『オール讀物』1988年11月号
山道で迷い、日が暮れてしまった時、赤みがかった黄色い灯りを見た。
どうやら人家があるらしい。
助かった、と思った・・・
- 頭の中の湿った土
『小説新潮』1988年7月号
私は七年前、土の中に埋められた。
その時の状況を思い出そうとしている・・・
- 鳥葬の山
『小説新潮』1989年3月号
ヒマラヤに近いチベットの街で、鳥葬を見ることが出来た。
人間というのは魂のことで、死んでしまうと肉体から離れてしまうので
死体にはこだわりはないという。
だから、ハゲワシに食わせてしまうという習慣が残っている・・・
- 閑古鳥
『ショートショートランド』1985年4・5月号
十歳になる子どもと、久しぶりに出会って食事をしている父親。
彼らの食べている肉料理は・・・
- あやかし
『毎日新聞夕刊』1989年8月22日号
32歳になるみちこ叔母さん。
彼女に好きな男の人がいる事は知っている。
そしてつい最近、それが不倫と呼ばれる関係であるということも
分かってきた・・・
- 超高層ハンティング
『ベアーズクラブ』1988年6月号
新宿の高層ビル最上階にあるバー、ここにおれは、「狗」を追い込んだ。
それは、NASAが対宇宙用に極秘に開発した新生物。それが脱走したものだ。
そしてそれを追うのが、我々、念呪者だ・・・
- 羊の宇宙
『オール讀物』1988年新春号
中国西部を旅しているアルベルトとカール。
彼らはそこで、1人の羊飼いの少年に出会った。
話をしてみると、彼は独特の世界観を持っていた・・・
- 渓流師
『別冊小説宝石』1988年18巻第3号
広告代理店に勤める久保は、虫のすかない上司をなぐり、次の日に
辞表を郵送して一人で釣りに出かけてきた。
そこで、ある崖から落ちて右足を骨折し、左半身と腰も強く打ってしまった。
もう、崖の上まで昇る元気は全く残っていない・・・
瑠璃の方船
文藝春秋 (1995.4.30)
- 「鵺月夜」(『オール讀物』1992年8月号)
- 「猩々の契り」(『オール讀物』1992年12月号)
- 「邯鄲の夢」(『オール讀物』1993年4月号)
- 「八島の碑」(「八島の碑」)(『オール讀物』1993年8月号)
- 「安達原」(『オール讀物』1993年11月号)
- 「花筐の宴」(『オール讀物』1994年3月号)
- 「敦盛の鬼」(『オール讀物』1994年6月号)
- 「西行桜」(『オール讀物』1994年10月号)
- 「錦木童子」(『オール讀物』1995年2、3月号)
大学に入学した頃から1993年末頃までの話。
自分のまわりには、高校時代からの友人恵子と、彼女の連れてきた友人
河野城平とがいた・・・
神々の山嶺(上・下)
集英社 (1997.8.10)
深町が、カメラマンとして参加していた日本のエベレスト登山隊は、
二人の死者を出して失敗した。
その後、すぐには日本に戻らずにしばらくカトマンドゥに留まっていたところ、
裏町の店に古いコダックのカメラが置いてあるのを見つけた。
マロリーがエベレスト初登頂した時に持っていたものと同じ機種
である事に気付いた深町は、これを手に入れ、そのルートをたどって
いるうちに、一人の日本人にたどり着いた。
その男はピカール・サンと呼ばれていたが、伝説の登山家、羽生丈二では
ないかと気付き、日本に帰国後、彼の事を調べ始めた・・・
人は、どうして山に登るのか???
沙門空海唐の国にて鬼と宴す(巻ノ一)
徳間書店 (2004.7.31)
貞元二十(804)年、遣唐使船の第一船が、沙門空海を乗せて福州の海岸に
流れつき、[シ卞]州、洛陽を通って唐の都長安までやって来た。
丁度その頃、皇太子の李誦が病に倒れ、徳宗皇帝が亡くなっていた。
そしてその両方に、予言がなされていたのである。
空海は橘逸勢らとともに、その一つの劉雲樵の屋敷の猫の妖物に
立ち向かおうとしていた。
だがそれは、非常に奥深いものであり、劉らに頼まれてやってきた青龍寺の
鳳鳴とともに探索することとなった。
実はこれもまた、沙門空海の戦略の一つであったのだが・・・
沙門空海唐の国にて鬼と宴す(巻ノ二)
徳間書店 (2004.7.31)
劉雲樵の屋敷で彼の妻に対面した空海と橘逸勢は、その時のとりついた猫との
会話から、どうやら話は玄宗皇帝時代の楊貴妃に絡んだものと分かってきた。
探策を進めた空海らは、ゾロアスター教や胡が深く関係しており、
そして最後に唐で生涯を過ごした遣唐使の一人、安倍仲麻呂にもかかわる
事だということを突き止める。
そして紆余曲折の後、安倍仲麻呂の、李白に向けて書いた日本語の手紙を
読むことになった・・・
沙門空海唐の国にて鬼と宴す(巻ノ三)
徳間書店 (2004.8.31)
晁衡こと安倍仲麻呂が李白に書いた手紙を読み終えた空海は、手紙がもう一通
あるという事を聞いた。
そしていろいろと探索しているうちに、それは実は高力士が晁衡に宛てて
書いた手紙であることが分かってきた。
それを手に入れた空海は、中を読むことになる・・・
沙門空海唐の国にて鬼と宴す(巻ノ四)
徳間書店 (2004.9.30)
かつて、玄宗皇帝と楊貴妃とが冬の間を過ごしたという驪山の華清宮にて、
空海と橘逸勢、白楽天らは宴を催すことにした。
そこに次々とあらわれてきたのは、丹翁こと丹龍、ドゥルジこと白龍、楊貴妃に
黄鶴という、かつて華清宮に集まっていた人々であった。
そして、いろいろな秘密が明らかにされる・・・
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