湯本香樹実

1959年、東京都生まれ。東京音楽大学卒業。


夏の庭
新潮文庫 (1994.2.25)・・・福武書店 (1992.5)

木山と山下、それに河辺は、小学六年のクラスメート。 山下が、おばさんの葬式に出るために学校を休んだ。 もどって来た山下に、「人が死ぬってどういうこと?」と問いつめるが、 なかなか要領の良い解答を得ない。 そんな時、河辺が近所のおじいさんが今にも死にそうだという話を聞きつけて来た。 早速三人で、そのおじいさんの死の瞬間を見届けようと、家のまわりで 張り込みを始めた。 ところが、そのうちにおじいさんと仲良くなっていくことになる・・・


ポプラの秋
新潮文庫 (1997.7.1)

父親が亡くなって、ぼんやりしてしまった様子の母親と、あてもなく散歩を していた時に見つけた、ポプラの木のあるアパート、コーポポプラ。 もうすぐ7歳になろうとしていた私は、そこに母と移り住んだ。 そこの大家さんはおばあさんで、とても恐かった。見た目もそうだし、 入るときに「子どもはダメ」と言われて拒否されそうになったのだ。 そして、小学校も変わったが、私はうまく馴染めず、精神的な疲労から 寝込んでしまった。 母親は仕事にでなければならないため、昼間だけ私はそのおばあさんのところに あずけられることになった。 初めのうち、話もしなかったが、そのうちだんだんと話をし始め、そしてある日、 おばあさんは奇妙なことを言い出した・・・


西日の町
文芸春秋 (2002.9.15)

母の兄であるてこじい。 彼が、ふらっと僕の家に転がり込んできたのは、僕が 10歳の時だった。 昼も夜もいつでも、壁際に座ったままでいるてこじい。 彼は昔、急にいなくなっては急に戻ってきて、元気になった頃にまた ふらっと出ていく生活をしていたらしい。 ある日てこじいは、早朝に歩いて出掛け、海でアカガイをバケツに山盛り二杯 取ってきた。そしてすぐぐらいに入院し、なくなった。。。 僕の母ももう亡くなったが、僕の机の上にはまだ、てこじいのとってきた アカガイの貝殻が置いてある・・・



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